ファッション豆知識

トレーナー(スウェットシャツ)(4)

トレーナー(スウェットシャツ)のコーディネートというと、すぐにジーンズに合わせてしまいがちですが、それではマンネリになりがち。

近年、裾(すそ)をボトムのウエストに全部入れる「トップスイン」や、前だけ入れる「前だけイン」という着方が流行っていますが、トレーナーでこの着方ができるウエストの細い人がうらましい限りです・・・

様ざまな着方もありますが、最近はトレーナー自体のヴァリエーションが豊富で、特に女性用では袖ぐりが大きくゆったりしたドルマン・スリーブで全体的に丸みのあるシルエットのものや半袖のものなど、レディライクなデザインのものも増えています。また、ぐりや裾(すそ)が切りっぱなしになっているような、ロックでワイルドな感じのものもよく見かけます。

おしゃれな外出着として選ぶなら、首回りがすっきりしたものに膝丈ほどの大人スカートやスリムなジョガーパンツを合わせて、きれいめコーディネートするのもいいですね。アクセサリー、パンプスやブーツ、フェミニンなバッグなどを合わせると、大人の女性らしいおしゃれができます。
レザージャケットとスニーカーに高級ブランドのバッグを合わせると、海外セレブ風?!

また、インナーにガーリーなのシャツを合わせたり、付けで雰囲気を変えたりして、同じトレーナーでも異なる雰囲気のおしゃれもできます。

男性のトレーナー(スウェットシャツ)のおしゃれは、ついスポーツ寄りになりがちで、女性よりヴァリエーションが少ないように思われますが、ファッション好きな皆さんはいろいろ工夫して、トレーナーのおしゃれを楽しんでいるよう。

配色やグラフィックだけでなく、コーディネートの際にちょっと気を配ると、格段におしゃれ度がアップします。
例えば、ビッグシルエットのトレーナーにミリタリーテイストのカーゴパンツというリラクシングなトレンド・スタイルは、トレーナーの着丈を短めにするとだらしなく見えません。
また、スカーフやアクセサリーなどで胸元を飾ると、グッと高感度になります。

ヴィンテージのものは、アイテム自体に歴史やストーリーがあるので、おしゃれの深度も深めてくれますね。

トレーナーの上にジャケットを羽織れば、ビジネス仕様にもなります。

トレーナー(スウェットシャツ)のコーディネートは、ジーンズなどのカジュアルなボトムと合わせることが多いかと思いますが、上下揃えたセットアップで着用することもあります。

スウェットシャツとスウェットパンツを合わせたものは、「スウェットスーツ(Sweatsuits)」と呼ばれます。
このトレーナー(スウェットシャツ)の最初の回でも触れましたが、英語では上下合わせたものを「Sweats(スウェッツ)」と呼ぶことがありますが、日本でよく使われる「Sweat(スウェット)」は英語では通じないので注意です。

スウェットスーツは、トレーニング時や部屋でくつろぐ際のルームウェアとして着用している人が多いかと思いますが、おしゃれ着として楽しむ若者もいます。
日本では、特にヒップホップ系のファッションがブームだった2000年代前半に、ファッショニスタたちにこのスタイルがいち早く取り入れられ、その後一世を風靡する勢いで、若者の間で拡まりました。
無地のスウェットスーツを着た10代の若者たちは「スウェット族」と呼ばれ、特に当時「ギャル」と呼ばれた女性たちが流行の中心となっていました。色はグレーや黒、紺が人気があったそうで、クール路線であることがうかがえますね。また、当時彼女たちに人気だったブランドは、109に入っていた「PLAYBOY(プレイボーイ)」や全国的に安く購入できる「UNIQLO(ユニクロ)」だったそうです。

スウェットスーツで街に出ることは、当時の大人たちからすると「パジャマで外出する」感覚なので、「服装の乱れ」として物議を醸すことも多々あったようです。いつの時代も、ファッションの前進には物議をともなうものですね。

ただし、スウェットという生地の性質や機能上、スウェット・アイテムの多くはルームウェアやパジャマとして着用されることも多いですから、スウェットスーツで街に出ることを良しとしなかった大人たちの気持ちも理解できなくもありません。

コロナ禍で拡まったリモートワーク用に、スウェット生地を使用したスーツなども多く登場してきました。

個人的には、春夏の仕事着でスウェット生地のジャケットを着用することも多いですが、動きやすく快適な上、洗濯などお手入れもしやすく重宝しています。 また、あまり硬くなり過ぎずソフトな印象なので、働く女性にとってオススメのアイテムです。

スウェットシャツの他にも、スウェットワンピースやスウェットスカート、スウェットカーディガンなど多くのスウェット・アイテムがあります。
シンプルなデザインのものは、すっきり見えてスタイルアップ効果があるので人気のよう。
ボタン付きのスウェットカーディガンのボタンを留めてトレーナーのように着こなすなど、いつもの普段着をちょっと工夫したおしゃれもいいですね。

また、なんと言ってもスウェット・アイテムはシワになりにくく、お手入れも簡単なので使いやすい衣料です。
特に旅行の時には大活躍します。ワンピースなどはきれいめのデザインのものを選べば、ちょっとしたレストランにも着て行けますよ。

なんだか旅に出たくなってきました!
この夏の旅が、久しぶりの旅行になる人も多いと思います。
旅先で思いっきりおしゃれにリラックスできるスウェット・アイテムを、ぜひ旅のお供に連れて行ってくださいね!Bon voyage!

文/佐藤 かやの(フリーライター)

写真はイメ―ジです。