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渋谷ファッション&アート専門学校

服飾専門課程
(ファッション)

カーディガン

Cardigan

ファッション豆知識COLUMN

前回のコラムで、春の衣替えは気温が不安定なことから難しい、というお話を書きましたが、そんな不安定な季節に活躍するのが端境期(はざかいき)アイテムです。

本来「端境期」とは、前年産の古米と入れ替わって新米が市場に出回る9〜10月くらいの時期を指しますが、広義では「移行期」を意味するようになりました。
ファッション業界では「端境期」というと、冬物と春物の間や夏物と秋物の間といったシーズンの合間の時期を指します。まだ肌寒い日も残る冬物と春物の間のアイテムを「梅春物(うめはるもの)」といったりしますね。

こうした端境期に活躍するのが、羽織ものの代表格、カーディガンです。
梅春物では春を感じさせる明るい色でも、きちんと防寒になる厚手の素材のものであったり、夏から秋にかけては、薄手の通気性の良い素材でもシックな秋色のものが活躍します。

もちろん通年のおしゃれでも、カーディガンは大活躍。

カーディガンは長袖が一般的ですが、真夏でも紫外線対策や冷房対策の羽織ものとして愛用している人は多いのではないでしょうか。

またカーディガンは、もともと男性の衣服として登場していますが、女性だけでなく男性にとっても日常のおしゃれアイテムです。
少し前までは、男性のカーディガン・ファッションというと、大人の紳士の理知的なイメージでしたが、最近は若い男性のファッション・トレンドとして注目されており、柔らかな優しい印象の「カーディガン男子」は、女性からの好感度も高いとか。「きちんとした清潔感」「知性」「優しさ」「大人っぽさ」などの印象をカーディガンが与えるからのようですよ。

そして前開きの便利さから、赤ちゃんからお年寄りまで、まさに老若男女に愛されています。

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「カーディガン」という名称は、18世紀のイギリスの第7代カーディガン伯爵のジェイムズ・ブルデネル(James Brudenell)という人が、クリミア戦争時に、怪我をした者でも着易いように、保温のための重ね着として着られていたVネックのセーターを前開きにしてボタンでとめられる様な衣服を考案したことに由来する、ともいわれています。
またその原型は、17世紀のイギリスやフランスの漁師の間で着られていたフィッシャーマンズ・セーターではないかとも伝えられています。

もともとは軍事的な用途で考案されたものが、ファッションとして一般的に拡まるところは、「スプリング・コート」と同じですね。
そして「セーター」の一種として、産業革命で一気に生産が拡大し、海を越え、やがてアメリカのアイビー・リーグの間で人気となり、カーディガンは彼らのファッションスタイルである「アイビー・リーグ・モデル」には欠かせないアイテムとなりました。
後続して日本では、このスタイルを日本的に解釈した「アイビー・ルック」が、当時のおしゃれな若者達の間で流行しました。

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カーディガン【Cardigan】

男女ともに用いる毛糸編みの前あきジャケットのこと。イギリスのカーディガン伯爵(はくしゃく)がけがをしたとき着用したことからおこった名称といわれる。婦人のものには半袖のセーターなどとそろいになったものもみられる。これは外国ではツイン・セット(twin set)とよばれ、デパートなどではツイン・セットのコーナーが設けられるほど普及している。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

カーディガンはセーターの一種ですから、もともと素材はウールでした。しかし、ファッション・アイテムとして一般化すると、様々な素材やデザインのものが登場し、私たちのコーディネートの幅も広がりました。

綿や化学繊維のものは、自宅で手軽にお洗濯できるので、扱いやすく人気です。夏や暑さの残る秋口には麻のものが、涼感とともに軽やかなスタイルも演出してくれます。

また、着方やコーディネートによって、フォーマルにもカジュアルにもなり、便利なアイテムです。
カーディガンと揃いの半袖のトップスとセットになった「ツイン・セット(またはツイン・セーター、アンサンブルともいう)」は、きちんとした上品な印象になりますし、Vネックのものを、前ボタンをすべて留めて着用すると、少し大人っぽい印象になります。流行りのゆったりとしたパフスリーブのものは、今風のスタイルになるだけでなく、体型の悩みも隠してくれそうです。同じく近年大人気のロング・カーディガンは、アウターとして1枚は持っていたいアイテムですね。最近は素材のしっかりしたコート風のものが「コーディガン」と呼ばれて、端境期のアウターとして定着しつつあるようです。

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春から夏に向けて、鮮やかな色のものや軽やかな素材のものなど様々なカーディガンが出てきます。
Tシャツとジーンズなど定番のコーディネートでも、その上に羽織るカーディガンを変えていくだけで、季節の変化に対応した様々なスタイルが楽しめます。

おしゃれ上級者は、夏のリゾート・ウェアにもカーディガンを取り入れてみてはいかがでしょう?UV素材なら日焼けを防いでくれますし、室内では冷房対策にもなります。暑い時は腰に巻いてしまえば、それもおしゃれコーディネートになりますよ。

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文/佐藤 かやの(フリーライター)