絵画コース

あなたにしか描けない
絵の表現を。

平らで無垢のキャンバスに一本の線を引くと大地と空の境界が生まれます。そこに色彩を与えると光に輝く草原や大空が生まれます。さらに筆の運びを工夫すると風や空気の揺らぎが生まれます。

絵を描くことは、「平面」としての画面に自分だけの世界や無限の空間を自由に建ち現わせることが最大の魅力と言えるでしょう。そして、その制作過程には多くの驚きや喜びもあります。

モチーフを観察する中で、視点を変えることで多様な表情変化に気付き驚くことがあるでしょう。パレット上で絵具を混ぜるうちに、思いもよらなかった色彩に出会い心躍ることもあるでしょう。絵具と描き具の組み合わせにより現れる多様な描線は、子どもの時のような純粋に線を導き出すことの喜びを思い出させることもあるでしょう。これらのプロセスの中には、あなたにしか気付くことのできない発見や思考があり、その積み重ねがあなたにしか描けない絵の表現として結びつくのです。

絵画コースの学びについて

絵画コースでは一人ひとりが本来持っている「感性」に寄り添い、それぞれの視点や創造性を呼び起こし、発展させることを基にした学びを目指します。本来「絵を描く」ことは、自分が思ったように自由に何をどう描いてもよいものです。しかし、絵を通して「自分の思いをより強く伝えたい」「共有したい」「もっと人や社会と繋がりたい」と思うことがあるでしょう。その時は自分の中に『絵画』を学ぶための準備ができた証拠です。

ここでは、あなたが本来持っている独自の造形的感性とは何かを探りつつ、絵画制作における知識や技術・多様な表現の在り方を学ぶことでより豊かで堅牢な絵画表現へと高めていきます。

いずれにしても絵画の制作は、楽しむことが重要です。その為にもあなたなりの多くの造形的試みをし、先に述べたような制作の中における思いもよらない発見や悦びを見つけてみましょう。当然、上手くいかず失敗など多くの回り道もあります。しかしその経験こそが「あなただけにしか描けない絵画」への近道となるはずです。
そして、ここで絵画を学ぶ多くの仲間とともに、作品を制作する感動や悦びを分かち合いましょう。

画材

油絵具、アクリル絵具、キャンバス、筆、ペインティングナイフ、パレット、とき油など
他にも画材の手入れや作品を保護するための道具などたくさんの種類がありますが、一度に揃える必要はありません。
授業に必要な道具はその都度説明しますので制作の進行に合わせて買い足していきます。

デッサンで使用する画用紙と木炭紙は事務室で購入できます

施設

廊下のロッカーの他に教室内に1人1つずつ道具箱を支給、画材の保管が可能
制作中の作品は全て学校内に保管
美術表現科では最大30号、造形表現科では最大50号の制作が可能
表現研究科では最大130号の制作が可能(1人につき約2メートルの壁面を使用可)

学科ごとの学習領域

美術表現科

まずはデッサンやドローイングを通して対象への視点や向き合い方、描画材の扱い方などの「観察・描写」と言った描くための基礎を養います。また、油絵を中心とした絵画制作の手始めとして、各種道具の解説や使用法、キャンバスの張り方などから体験します。
静物や人体などの多様なモチーフを実際に描き進める中で、油絵具の特性や基本技法、色彩効果、基本的な空間表現などを学びつつ、それぞれの表現意識も高めていきます。

造形表現科

古典から現代までの多様性のある絵画空間や造形的アプローチの制作体験を通して表現の幅を知ると共に、独自の絵画への思考や感性をさらに模索します。より高度な技法や制作に対する知識を身につけることで、一人ひとりに合った絵画表現への足掛かりを構築していきます。

絵画コース

表現研究科

学生自ら打ち出したテーマに沿って研究を進め制作に専念することが出来ます。学生に与えられた個別の制作スペースは個性的で自分らしい絵画表現のさらなる研鑽を重ねる場となります。
そこでは制作者としての自立へ向けた指導や、展示発表などそれぞれの目的に合わせたサポートを行っていきます。さらに、年4回、修了制作を入れて5回の講評会を設け、ゲスト講師を招き担当して頂きます。
コンクールや公募展などの審査では、客観的な目に晒されるのですからその準備とも言えるでしょう。年々、在籍中に個展やグループ展で作品を発表する学生、コンクールや公募展に出品する学生が増え、入選はもちろん受賞者も出てきました。
採光に優れ、美しく広いアトリエは制作に集中できる環境となっています。

実践的な指導の一例

佐々木豊先生による「中間指導」

床一面にクロッキーを広げ、人体の微妙な重なり(構成)を妥協なく検討していきます。構図が決まり、キャンバスに入ってからも一人ひとりの作品を丁寧に見て回り指導していきます。また指導の端々で佐々木先生の画家としての姿勢も垣間見ることができます。

佐藤泰生先生による「写実から具象表現へ」

授業の導入では丁寧な講義が行われ、課題の目的や概要だけでなく、佐藤先生自身の制作への考え方にも触れることができます。この授業では、画面構成だけにとどまらず、各自の思いを表現するための絵作りを学びます。

遠藤彰子先生による「公開講評」

2020年度の修了制作展では、特別講師として洋画家・遠藤彰子先生に絵画コースの学生の公開講評をしていただきました。
各学生と対話しながらの講評は、今後の制作への課題とやる気を引き出してくださる、大変価値のあるものでした。

カリキュラム

下記は一例となります。

春季

  • 静物画・細密画
  • スペースCTCにてコース展覧会開催
  • 表現研究科中間講評(年4回実施)

夏季

  • 技法演習
  • 平面化とマチエール

秋季

  • 人物画
  • 人体構成

冬季

  • 大型モチーフ
  • 修了制作

学生の声VOICE

良かったこと、大変だったこと

良かったことは、一流の先生方に、色々な形で教えを受けることができたこと。同じ志を持つ仲間と時間を共有でき刺激をもらえること。
大変だったことは、一度に沢山のことを教えていただくこともあるので、なかなか消化しきれないこと。中には、何年かしてからやっと理解できることも多々あります。

表現研究科/鎌田隆夫さん

先生よりメッセージ

永井俊一

イラストレーター

デッサンの基本は「観察」であるとよく云われますが、対象物を「良く見る」だけでなく「良く考える」事が大切です。楽しい発見を繰り返し、審美眼を養いましょう。

菊地達也

洋画家・国画会会員

今使えるものは、すぐに役に立たなくなります。付け焼き刃な技法では時代に流されてしまうのです。時代に間に合ったとしても、見苦しい表現になるでしょう。技法にも信念が必要なのです。それが変化をも吸収し、作品は魅力的になるのだと思います。

清水健太郎

画家・二紀会会員

あなたならではの表現への手掛かりは、自分がこれまで生きてきた道のどこかに必ず転がっています。その探し物を見つけ出しこれからの表現の道を切り開く手助けが出来ればと思います。

授業の様子