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渋谷ファッション&アート専門学校

服飾専門課程
(ファッション)

ワンピース

One-piece

ファッション豆知識COLUMN

毎日、トップスやボトムスの組み合わせでコーディネートを考えるのも楽しいけれど、やっぱり女性のファッションアイテムで最強なのは、ワンピース。

忙しかったりするとつい、着脱の簡単さゆえにワンピースばかり着てしまいがちですよね。特に夏は、開放的なデザインと通気性のあるワンピースは毎日着てもいいくらい。
ワンピースはフォーマルからカジュアルまで実に様々なデザイン・柄があるので、もしかしたら毎日ワンピースというワンピースフリークもいるのではないでしょうか?
また、ワンピースは女性らしさを演出するのには最強アイテム。いつもはジーンズ姿の女性がワンピースを着ると、少しドキっとしたりします。

「ワンピース」とはその名が示す通り、上衣とスカートが一続きになっている衣服です。
1枚の布から出来ているものとは限らず、上下が縫い合わせられて全体として一続きならば、それは「ワンピース」です。

英語では「ワンピース・ドレス(One-piece dress)」といいます。
「One-piece」自体は、水着やスポーツウェア、子供服などのつなぎ服全般を意味する言葉なので、いわゆる私たちがイメージする女性の「ワンピース」は、その中の「ドレス」にあたるわけですね。
ちなみに、トップスとスカートに分かれたものは「ツーピース」、トップスとスカートとベストなど3つに分かれているものは「スリーピース」と呼ばれています。
基本的には、それ1枚だけを着れば服装として成り立つものが、「ワンピース」です。
一続きといっても、最近人気の「オール・イン・ワン」や「サロペット」などは、別のトップスの上に着るのでワンピースとは区別されます。

ワンピース【One-piece】

ワンピース・ドレスのことで、上着とスカートひとつづきの婦人、こども服の総称。1枚の布でつくられたドレスという意味ではなくて、上下が縫いあわされていても切替線ではぎあわされていても、全体がひとつづきになっていて、1枚の構造になっているドレスのことをいう。これに対しワン・ピース・スカートといえば、1枚だけの布でつくられたスカートという意味である。一般にふだん着程度の衣服のよび名につかわれることが多いが、正装のドレスもふくめていう。スーツなどの二部式衣服が女性に用いられるようになったのは20世紀にはいってからのことで、今日でも女子の正式な服装は、かならずワンピース形式である。またドレスといえば、通常ワンピースのものをさす。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

「ワンピース」の歴史は、それを「一続きの形態のアウターウェア」ととらえると、先史時代にまでさかのぼってしまうでしょう。
その頃の衣服は男女区別ないもので、女性用衣服としてのワンピースとはイメージが異なるものです。接着および縫製技術がない時代は、動物の皮や、麻などの植物繊維を編んだ一枚布を身体に巻き付けたものでした。

古代ギリシアの代表的衣服であるキトンや古代ローマの代表的な衣服トーガなども、日本の着物のように布を体にかけ、帯紐やピンによって着つける一枚布の衣服でした。こちらも男女ともが着用していましたが、トーガはやがて男性用衣服となり、女性はギリシア時代の衣服を踏襲し、ここで男女の衣服がはっきりと分化したといわれています。
のちに北方民族のフン族やゲルマン民族の影響などにより、男性のズボン化が進み、女性用の衣服は丈の長いまま、ヨーロッパでは「ドレス」として進化しました。

「ドレス」の変遷は、時代の世相を反映していて非常に興味深いテーマです。
その変遷をたどるのは長くなりそうなのでまたの機会にして、今回は長いドレスの裾が地面を離れた第一次世界大戦後から、「ワンピース」の変遷をたどってみましょう。

第一次世界大戦は兵士に限らず国民全体を巻き込んだ総力戦となり、街には男性が少なくなり、女性が働かざるを得ない状況を作り出しました。その結果、女性の大学進学や参政権が認められるなど社会進出も目覚ましく進んだのです。女性が活動的である必要から、女性服にも機能性が求められ、とうとう長いドレスの裾が地面を離れました。
1925年頃には、スカート丈は膝頭まで上がっていたそうです。おそらく戦争が終わった解放感や女性の権利拡大という背景が、その進化を加速させたのだと思います。

その頃流行したのが「ギャルソンヌスタイル」と呼ばれる新しいスタイルでした。「ギャルソンヌ」は「男の子のようなおてんば娘」の意味ですが、当時の社会的に活躍する「職業婦人」をも意味しました。
ローウエストで、下着は簡素化され、キャミソールと胸を平らにするブラジャーとガードルくらいになりました。それまで女性を締め付けていたコルセットをはずし、ウエストのくびれを消した直線的なシルエットが特徴で、髪を短くカットし、当時は「まるで少年のようだ」と形容されましたが、現代からみると、女性のセクシーな魅力を引き立てるファッションのようにも思えます。

このスタイルを推進したのが、女性の社会進出を提唱したココ・シャネルです。今では女性らしさを演出するひざ丈のワンピースも、フェミニンで時には保守的なブランドに思われがちなシャネルも、登場した時は革命的な社会的意義を発信していたのです。
日本でも大正後期、このスタイルは「ギャルソンヌルック」と呼ばれ、欧米の文化に接触しやすい良家の子女や知識階級の婦人の間で流行しました。
やがて一般に拡がると、銀座などの中心街にモガ(モダンガール)やフラッパーといわれる若者が登場しました。

とはいえ、この時代の日本は、まだまだ和装が多い時代。しかし1923年9月1日に起きた関東大震災で、避難時に和装の不便さで命を落とす女性も多かったため、洋服の機能性が着目され、日本女性の洋装化が加速したといわれています。
また日本でも、この頃から女性の社会進出の動きが活発化しています。
ファッションは世界中文化圏を問わず、世相を表すものなのですね。

1930年代の世界恐慌で、おそらく懐古主義的な風潮があったのか、欧米では再びロング丈のドレスが流行するものの、1940年代前半に世界が第二次世界大戦に突入すると、女性はより重要な労働力とみなされ、その服装はより機能的になっていきました。戦時中の女性はスーツが主でしたが、ワンピースもシンプルで実用的。メンズライクでかっちりした襟とポケットが特徴でした。

ちなみに、日本の戦時下の女性の服装は、かっぽう着ともんぺが標準服だったそうです。
でも、日本のワンピースの歴史はここで終わりません。
戦後は、特にアメリカの文化が一気に流入してきましたので、アメリカのファッショントレンドがすぐに日本でも取り入れられました。

1950年代のスタイルは「50‘s(フィフティーズ)と呼ばれるように、一大文化スタイルを形成し、今なお人気のスタイルです。ウエストを絞り、バストとヒップを強調したキュートな砂時計のようなスタイル。軽快なダンスを踊りたくなるワンピースです。

1960年代に入ると、よりスカートの丈は短くなります。明るく大胆な柄が人気で、ホワイトブーツを合わせるのがトレンドでした。

1970年代はディスコブームで、スパンコールが散りばめられたきらびやかなワンピースが人気となります。また、ケープのようなドルマン袖のロング丈のドレスも流行りました。

1980年代は、この時代の特徴である、髪型から肩パッドまでが膨らんだいわゆる「80‘s(エイティーズ)スタイル」。ミドル丈で明るい色のワンピースがトレンドでした。世界的にも経済が好調な様子がうかがわれます。

1990年代は、ファッション界でもミニマリズムが主流に。スパゲッティストラップとよばれる細い肩紐にロング丈の大人っぽいシックなワンピースが流行しました。

2000年代は90年代のミニマリズムの反動か、フェミニンでゴージャスなワンピースになります。高めのウエストとホルターネック、色はピンクが主流。そこにファーなどを合わせ、華やかなスタイルがトレンドになりました。

2010年代の流行は、生地をくり抜いたり、切り抜いたりして、肌や下地をみせる“カットアウト”手法のものだそうです。特に「コールドショルダー」といわれる肩を見せるスタイルや、胸元が開いたセクシーなデザインが人気。「コールドショルダー」は90年代からダナ・キャランのアイコン的デザインとして知られていますが、若い世代に人気の「オフショルダー」には少し抵抗のある大人の女性向けのスタイルです。

そして来年は2020年。また、新しい時代が始まります。

来年の世界の女性は、どんな女性像を目指して輝くのでしょうか。
新しいワンピーススタイルの登場が、楽しみですね。

文/佐藤 かやの(フリーライター)