web出願はこちら

AO入学の方 推薦・一般入学の方

ファッション豆知識

ベスト(5) 

ファッション ベスト

あけましておめでとうございます。

新しい年が始まりましたが、ファッション好きな皆さんは、年末年始の素敵な会食などのイベントを、ファッショナブルに愉しまれていることと思います。
2024年もファションを愉しめる、平和で明るい1年であるといいですね。

今年もファッションにまつわるちょっとした豆知識を、皆さんお届けしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

ファッション ベスト

さて、前回までは、イギリスのウエストコートを中心に、男性のファッションとしてのベストについてお話ししてきましたが、現代のベストは女性のファッションでも活躍しているアイテムですよね。

今では女性のファション・アイテムとして普通になっているベストですが、ベストが女性に着られるようになったのは20世紀の半ば頃だったそうで、女性ファッション史においては、ベストはまだまだ歴史の浅いアイテムなのです。

ベスト 【Vest】

男子服においては上着、ズボンとともにベストを着用するのが正式とされている。第二次大戦後ベストは用いられない傾向にあったが、その後ふたたびベストと組合わせて三つ揃として着ることも行われている。また女子の服装においても、1967〜1968年ごろから服装の男性化のあらわれとしてスーツにベストを組合わせたり、中にはジャケット、ズボン、ベストにネクタイまで締めた、男性とまったくかわらないスタイルも出現している。その他上着を着ないときも、ちょっとしゃれた感じをだすためにシャツやブラウスの上に着たり、タイツと組合わせたり、上着的に着る目的でスカートと同布でつくられた<丈の長いベスト>もある。ジャケットと共布のもの、赤などのはでな色変りのもの、チェックやタータンなどの柄物などがあり、材質もウール、ニット、革、毛皮などさまざまである。用い方によってスポーティーにもドレッシーにも表現できる。正しくはヴェストゥと発音する。

ファッション ベスト

「女性用のベスト」というと思い浮かぶのが、近年人気が続いている「ジレ」です。

日本のファッション誌などを見ていると、少し丈が長めのベストを指すことが多いように思えますが、実は「ジレ」というのは、フランス語で「ベスト」という意味の「gilet」という言葉なのです。

「gilet」は、もともとは装飾的な胴衣のことを指す言葉で、他に「肌着」「カーディガン」といった意味もあるのだそう。
時代によって様ざまな使われ方をしたようですが、現在は「袖無しのジャケット」、すなわち「ベスト」を指すのが一般的です。

ジレ 【Gilet】

上衣を着たとき、ブラウスを着用しているようにみえる、ブラウスを模した装飾的な前飾りをもった袖なしの胴衣のこと。フランス語で<肌着><チョッキ>をさす。語源は短い上着を意味するスペイン語ジレコ(gileco)からの借用説と、それを製造し着用したGilleという人の名からという説があり、この字が正式にフランス語にとりあげられたのは、ルイ15世時代末期のこととされているが、当初は、丈もそうとう長く、大きい衿のついたものもあった。これをジレというようになったのは18世紀後半のことで、精巧な刺繍(ししゅう)をしたものだったが、その後衣服全体が簡素になるにつれてジレも今日のように変形された。しかし現在でもジレにはいろいろな形が残っており、前の打合わせがシングルのもの、ダブルのもの、衿(へちま衿)のあるもの、ないもの、ときには、袖のあるジレもある。そのほか、麻、木綿、フランネルなどでつくられた婦人用カミソール(camisole = 胴着)の一種、またプラストロン(plastron = 胸飾り)、あるいはガンプ(guimp = ロー・ネックのドレスに用いられるシュミゼット)を模したブラウスもジレとよぶことがある。また、ニットのカーディガンもジレという。

ファッション ベスト

面白いのは、「ジレ」で画像検索すると、今日本で流行っている女性用の長めのベストが並びますが、「gilet」で画像検索すると、長めのベストではなく、袖無しのダウンジャケットのような画像が多く出てきます。

フランスも含め欧米では、giletは防寒用のアウターを指すことが多いようです。もちろんファッションアイテムとしてのgiletもありますが、布製だけではなくフェイク・ファー製、ニット製などがあり、やはり防寒機能の要素が日本より強い気がします。

特にスポーツ用のgiletが人気のようで、フリース製のものや、中綿を入れたダウンジャケットタイプのもの、また、前面が防風仕様で背面は汗が乾きやすいメッシュのサイクリスト用gilet、頑丈な革製の射撃用giletなどがあります。

丈の短いアウターのgiletは、イギリスでは「body warmer」と呼ばれています。ちなみに、日本で「ボディウォーマー」というと、「腹巻」を指すようですよ。 こちらも「body warmer」と「ボディウォーマー」をそれぞれ画像検索してみると、違いがよくわかります。

ファッション ベスト

giletにはスポーツ用や射撃用のものがあるからでしょうか、「gilet」というフランス語には、その他「防弾チョッキ」や「救命胴衣」という意味もあります。
日本女性が思い浮かべている「ジレ」とは、まったくイメージが異なるので、少し驚きですね。

ちなみに、英語では救命胴衣は「life vest」、または「life jacket」と呼ばれています。飛行機で座った席の前に「LIFE VEST UNDER YOUR SEAT(救命胴衣はあなたの座席の下にあります)」と書かれてあるのを見たことがある人もいるでしょう。

「life vest」の「vest」という英語は、「ベスト(1)」でもお話ししましたが、イギリスではアメリカ英語で言う「undershirt(肌着)」、「tank top(タンクトップ)」を意味するので、イギリスやオーストラリアなどでは通常「life jacket」と言い、「life vest」と言うのはおもにアメリカ人のようです。

ファッション ベスト

今回は、女性のファッションアイテムとして知られている「ジレ」は、フランス語の「ベスト」という意味の言葉で、それが指すアイテムは、私たちが知っている以上に様ざまなものがあるということがわかりました。

けれども、言葉とそれが意味するもの、という意味では、まだまだ頭を悩ますようなことがあります・・・
実はフランス語にも「veste」という言葉があるのです!
そして、その言葉が指すアイテムとは・・・

次回は、フランス語の「veste」やイタリア語の「veste」の意味するもの、そしてその起源から、ベストの歴史についてお話ししてみたいと思います。お楽しみに!

文/佐藤 かやの(フリーライター)

写真はイメ―ジです。