
暦の上では立秋も過ぎ、少しずつ秋の気配が近づいてくる頃のはずなのですが、「残暑」というより、まだまだ「暑中」な暑さですよね・・・
ゆったりとふくらんだ袖は風通しが良いので、ふんわり&ゆったり袖のワンピースは暑い日に重宝します。生地がインド綿などだと肌触りもやわらかく、汗の吸収も良くべたつかないので、着心地バツグン。リラックスできるワンマイル服として1枚持っていると便利ですよ。
夏素材の服を、9月に入ったら秋色にして、夏から秋の過渡期を心地良く過ごしたいものです。
さて前回は、流行のランタン・スリーブ(Lantern sleeve)とパフ・スリーブ(Puff sleeve)についてお話ししましたが、丸くふくらんだ袖は他にもいろいろあります。
だいたい大きさや丈の長さ、形でのヴァリエーションですが、ランタン・スリーブの「ランタン=提灯(ちょうちん)」のように、その形に似ているものが名前についている袖は、名前から形がイメージしやすいかもしれません。

例えば、「バブル・スリーブ(Bubble sleeve)」という袖は、「Bubble=泡」のような形の袖なんだな、と想像がつきます。
もちろんこの袖もパフ・スリーブの一種ですが、少し大きめのパフ・スリーブを指すことが多いようです。
バブル・スリーブ 【Bubble sleeve】
形が泡のような感じであるところから<バブル(泡)>とよばれるもので、一般にはパフ・スリーブといわれるものである。
バブル・スリーブ 【Bubble sleeve】
(スリーブ 【Sleeve】の項)
一般には、パフ・スリーブといわれるもので、袖口や袖山にギャザーがはいり、ふっくらとふくらんだかわいらしい袖をさす。形が泡(あわ)のような感じであるところからバブル(泡)とよばれる。

バルーン・スリーブ(Balloon sleeve)も文字通り「Balloon=風船」で、風船のように大きく膨らんだ袖のことです。こちらは19世紀末のドレスによく見られるような、肩から肘(ひじ)くらいまでの上部がふくらんでいて、肘より下はタイトになっている袖丈が長いものを指すことが多いようです。
バルーン・スリーブ 【Balloon sleeve】
メロン・スリーブともいわれるもので、風船玉のように丸くふくらませた、ゆったりした感じの袖。
バルーン・スリーブ 【Balloon sleeve】
(スリーブ 【Sleeve】の項)
バルーンは<気球><ふうせん>などの意味で、ふうせん玉のように丸くふくらませた、ゆったりした感じの袖をいう。丈は肩から肘(ひじ)くらいまでの間で、バクラム(buck-ram = のり、にかわでかためた麻布)や、その他のかたい布で裏打ちして形づけたものもあり、肘より下の部分はタイトになっている。とくに1890年代に流行したもの。メロン・スリーブともいわれる。

バルーン・スリーブは「メロン・スリーブ(Melon sleeve)」とも呼ばれるそうですが、メロン・スリーブは、上部のふくらみ部分だけの袖も指すようなので、その場合は、メロンくらいの大きさの「少し大きめのパフ・スリーブ」とも言えるでしょう。
とはいえ、なかなかこの袖から果物の「メロン」は思い浮かばないかもしれませんね。 名前から形がイメージしやすいと思いきや、案外その袖の形を明確に思い浮かべることは難しいようです。
メロン・スリーブ 【Melon sleeve】
メロンのような形にふくらんだふくらんだ袖で、バルーン・スリーブに同じ。
メロン・スリーブ 【Melon sleeve】
(スリーブ 【Sleeve】の項)
メロンのような感じに丸くふくらませた袖で、バルーン・スリーブともいう。

「ブッファン・スリーブ(Bouffant sleeve)」は、あまり日本では聞かれないかもしれませんが、「Bouffant」はフランス語で「ふくらんだ」「ふくらみをつけた」という意味があり、肩口から大きくふくらんだ袖を指します。
一般的に、パフ・スリーブやバルーン・スリーブより大きく長めのものを指すようですが、「Bouffant sleeve」と画像検索すると、様ざまな種類の袖が出てくるように、ゆったりとふくらんでいれば、割とそんなに厳格な定義がないようです。
ブッファン・スリーブ 【Bouffant sleeve】
ふんわりと大きくふくらんだパフ・スリーブの一種である。
ブッファン・スリーブ 【Bouffant sleeve】
(スリーブ 【Sleeve】の項)
ブッファンは<ふっくらした><だぶだぶした>の意味で、パフ・スリーブの一種で、ふんわりと大きくふくらんだ袖をいう。薄手の張りのある布地でつくれば、その感じをよくだすことができる。主としてイブニング・ドレスなどに用いられる。

丸くふくらんだ袖は、まだまだたくさんありますが、ご紹介しきれないので今回はこのへんで。
次回は、ふくらんだ袖の歴史を少したどったり、ふくらんだ袖にまつわるお話もしたいと思います。お楽しみに!