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服飾専門課程
(ファッション)

コレクション

Collection

ファッション豆知識COLUMN

ますます寒さが厳しくなる2月。

2月のイベントといえば節分やバレンタインデーを思い起こす人も多いかと思いますが、ファッション業界的には重要な催しが2月から始まります。
そう、ファッションの都といわれる4つの都市で行われる、「世界四大コレクション」です。(※ メンズは先んじて1月に開催されています)
ハイブランドによる新作発表会(ファッションショー)で、ニューヨークを皮切りに、ロンドン、ミラノ、パリの順で、約1ヶ月に渡りファッションの祭典が開催されます。

この「世界四大コレクション」は次シーズンの新作を発表するため、年2回行われます。次シーズンとは、例えば2月から始まるコレクションではその年から翌年にかけての秋冬もの、9月から始まるものは翌年の春夏ものが披露されます。このコラムの初回「スプリング・コート」のところでも触れましたが、ファッションビジネスは四季でスケジューリングされており、秋冬ものはAW(Autumn/Winter)、春夏ものはSS(Spring/Summer)と呼ばれます。つまり、この2月に発表されているのは、「2019-20AW」シーズンのもので、9月から発表されるのは「2020SS」シーズンのものとなります。

コレクション【Collection】

収集、採集などの意味であるが、服飾用語としては各シーズンごとにオート・クチュールのクチュリエが創作して発表する作品の集まりのことをさし、さらにこれらの作品の発表会のこともいう。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

中でも「ミラノ・コレクション」「パリ・コレクション」などは、雑誌やニュースなどでもよく耳にするのではないでしょうか。特に最大級の「パリ・コレクション」は「パリコレ」と略され、世界中のファッショニスタが必ずチェックする、重要なトレンドの発信源となっています。

現在はプレタポルテが主流ですが、元々パリにおけるコレクションはオート・クチュールから始まりました。
世界最高の権威と信用を維持するために、今でもオート・クチュールのコレクションはパリのみでしか開催されず、それに参加できるブランドも、パリ衣裳店(クチュール)協会(シャンブル・サンディカル・ドゥ・ラ・クチュール・パリジェンヌ- La Chambre Syndicale de la Couture Parisienne)、通称「サンディカ」の加盟店でなくてはなりません。開催時期もメンズとウィメンズのプレタポルテの間で、今年は1月21日から開催されていました。

イタリアにも「アルタモーダ(Alta-moda )」といわれる高級仕立て服のコレクションがローマでありますが、オート・クチュールと呼ばれるのは上記の「サンディカ」加盟店のみのため、区別して考えられているようです。

Paris-Arc-de Triomphe

パリ・コレクション【Paris collection】

パリの高級衣装店では、その店のデザイナーたちが創作デザインした衣装を、毎年春夏ものと秋冬ものの2回にわけて、1月下旬から2月にかけて、および7月下旬から8月にかけてそれぞれの店で発表する。これをパリ・コレクションという。このとき発表される衣装は1店で、従来は100〜200点、最近ではやや少なくなって70〜80点くらいとなっている。1年に2回行われるパリ・コレクションは、その年の世界の流行を決定するといわれ、コレクションには、世界中のバイヤー、ファッション・エディター、報道陣が集まって新しいファッションに目をこらすのである。またパリのデザイナーたちは、このコレクションに自分のデザイナーとしての生命をかけている。浮き沈みのはげしいパリの服飾界にあってオート・クチュールの地位を保ち続ける苦労には並々ならぬものがあるといわれる。しかし1967〜1968年ごろからフランス政府の国策にともないオート・クチュールの危機が伝えられ、特に1968年秋冬のコレクションをひかえて行われたパリのゼネストは、フランス国内を混乱におとしいれ、コレクションの開催があやぶまれたが、例年より店の数が減少したのみで無事1968年のコレクションが開催された。しかしこの危機により長年続いたオート・クチュールの大御所、バレンシャガの店は閉じられ、関係者より服飾界の大きな損失といわれている。さらに1969年にはシャネルがオート・クチュール協会を脱退、またカルダンのようにすでに脱退したものも少なくない。この危機にあたりオート・クチュールの技術革新が叫ばれ、コレクションも従来のように多くの人手と時間を必要としないような新しい形でのパリ・コレクションに発展してゆくのではないかと考えられている。たとえば1969年にはオート・クチュールのコレクションとともに、あるいはその時期と前後して(11月と5月)プレタポルテのコレクションを行う店もあらわれており、オート・クチュールやコレクションのあり方が一つの曲がりかどにきていることを物語っている。なおほかに先んじてこの技術革新にいち早く踏みきっていたのがクレージュの店である。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

オート・クチュールとプレタポルテ。
言葉は知っていても、その違い、説明できますか?

オート・クチュールは、正しくは「新・田中千代服飾事典」にあるように「高級衣裳店」の意味ですが、現在は「サンディカ」の基準を満たして所属する一流の高級ブランドが作る、オーダーメイドの一点ものの高級服自体をさすことも多いです。
対してプレタポルテは、オート・クチュールから派生した高級既製服で、一点ものではなく大量生産できて、一般的に購入できるものです。

couture

オート・クチュール【Haute-couture】

オートは<高い><高等の>、クチュールは<裁縫仕立て>の意味で、直訳すれば高等裁縫の意味になるが、正しくは<高級衣裳店>のことで、とくにフランスのパリの高級衣裳店をさす場合がほとんどである。

<中略>

オート・クチュールが高級衣裳店として、一般の婦人服店や既製服店とまったく区別される点は数多いが、その根本的なものは、一流のデザイナーのもとに最高の素材と最高の裁断、および裁縫の技術を用いて、完ぺきな衣裳がつくられるということで、とくにその衣裳は完全にオリジナルであるという点にある。各店のクチュリエ(店主として経営と技術の両面にたずさわり、高度のセンスをもって仕事のあらゆる面の指導にあたるもっとも重要な人物で、その店のデザイナーをかねるものが多い)、または専属のデザイナーは、いずれも世界的にすぐれた技術と個性の持主で、その下にはデザイナーの考案したデザインを、最高度に実現することのできる技術陣、すなわちアトリエが設けられている。客は、好みにあった店を選び、自分に似合うデザインのドレスを買うことができるが、デザイン、素材、仕立てのいずれも、ほかに類をみないほど高度、かつ高級であるため、価格もひじょうに高価で、いきおい客は上流階級人、富豪、芸能人など特殊な一部の層にかぎられるのが現状である。ことにパリのオート・クチュールは歴史も古く、その芸術的といえる衣裳は、センスと技術において世界最高の権威と信用をもち、あらゆる意味で世界の服飾界をリードする指導的立場にあり、毎年の流行の源となっている。数多いパリの衣裳店の中で、オート・クチュールとよばれるこれらの店は、とくに別格とされ、そのほとんどがパリ衣裳店協会(シャンブル・サンディカル・ドゥ・ラ・クチュール・パリジェンヌ- Chambre Syndicale de la Couture Parisienne)に所属している。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

プレタポルテ【Prêt-à-porter】

プレタポルテは、<すぐに着られるように準備された>という意味で、一般に既製服のことと考えられているが、本来は前年にオート・クチュールとして発表されたものを、やや既製服的に裁断、縫製しなおし、一般むきに変更してつくった高級既製服をさす。したがってあくまでオート・クチュールから出したもののみをさし、その技術もオート・クチュール独特の手法が用いられており、普通の既製服とは異なっている。プレタポルテは、元来はオート・クチュールの副業的存在で、ブティックなどで売られる程度のものであったが、しだいに盛んになり、1960年中ごろからは相当数のオート・クチュールが、プレタポルテを手掛けている。とくにオート・クチュールの危機が伝えられてから昨今では、従来の高級衣装一点製作主義にかわるものとしてプレタポルテが重要視されはじめ、必ずしもオート・クチュールの作品が出たものではなく、最初からプレタポルテのためにデザイン、カット、縫製された作品も多く出回るようになってきており、プレタポルテ専門のデザイナーも出現した。プレタポルテのためのコレクションは3月と10月に行われる。売行きの大きいプレタポルテのコレクションにはオート・クチュールのそれを上まわるほどの報道陣やバイヤーが集まることもあり、遅れて行われるオート・クチュールのコレクションが見おとりすることさえあるといわれるほどである。しかし、オート・クチュールの革新派といわれるクレージュでさえ、<プレタポルテは、オート・クチュールをとりあつかった経験の上に立ってこれをつくるのでなければ、真にすぐれたものをうみ出すことはできない>といっており、この両者(オート・クチュールとプレタポルテ)を簡単に切離して考えることは問題があるとも考えられる。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

各コレクションは約1週間開催されることから、特に欧米では「ファッション・ウィーク」と呼ばれています。

この期間、世界中からバイヤーやメディアが集まりますが、ハイブランドのコレクションに入場できるのは厳選された招待客のみです。招待されるのは、ブランドの取引先、バイヤーなど商談相手に加え、ファッション誌の編集者、プレス、セレブ、インターネット上で強い発信力を持つインフルエンサーたちなど、一部の有力トレンドセッター(流行仕掛け人)に限られます。ですから、コレクションに入場するのは、世界のファッショニスタの憧れでもあります。

コレクションでは、発表されるブランドの新作のみならず、このトレンドセッターたちのファッションにも注目が集まります。コレクションでモデルたちが歩く細長いステージを「ランウェイ」といいますが、それに対しコレクションの外を「オフ・ランウェイ」と呼び、このオフ・ランウェイでの彼女たちの服装から、リアル・トレンドをキャッチします。
このオフ・ランウェイの情報も含めて、ここから最新のトレンド情報が一斉に世界中へ発信されるのです。

またこの期間、コレクションを行うハイブランド以外の店も、世界中からバイヤーやメディアが集まるこの機会にプレゼンテーションや販促イベントを催したりします。
街の洋服店のディスプレイも特別仕様になっていたりして、街全体が華やぐこの期間は、コレクションには参加できない一般の人も、街歩きするだけで新しいファッションの息吹とエネルギーを感じることができると思いますよ。

fashionweek

映画でもファッション業界を描いた作品が人気ですが、最近はフィクションだけでなく、ハイブランドの裏側に密着したドキュメンタリー映画も多く公開されるようになりました。こうした映画を観ると、コレクションという最大のプロジェクトに携わる多くの人たちの情熱と苦労を感じることができ、あらためてファッションの魅力を強く感じます。
まだ観てないという人は、ぜひDVDなどで観てくださいね。

fashionbusiness

文/佐藤 かやの(フリーライター)