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渋谷ファッション&アート専門学校

服飾専門課程
(ファッション)

衣替え(ころもがえ)

Koromogae

ファッション豆知識COLUMN

春。
暦の上では2月に立春を迎えますが、3月は気分も一気に春になりますね。
特に昼の長さと夜の長さが等しくなる春分以降は、どんどん日が長くなり暖かさを増していきます。

春を感じると、秋から冬に続いてきたシックな色合いの服を着るのには少し違和感を覚え、明るい春の陽気を思わせるような色を身につけたくなります。

そこで多くの人が3月に春の衣替えを行うのですが、春の衣替えは気温の変動が不安定なので難しいと言われています。暖かな日が続いて、冬服をしまってしまうと、急に寒くなる「寒の戻り」があったりします。桜の開花時期あたりも「花冷え」という言葉があるように、一時的に冬のような寒い日があるのがこの時期です。

多くの達人たちは、春の衣替えは最高気温を目安にして、3月から5月にかけて2、3回に分けて行うようです。例えば最高気温が15度を超える日が続きだしたら、ダウンコートや厚手の冬物をしまい、スプリング・コートなどの軽めのアウターやカーディガンなどの羽織ものを出す、など。ちなみにこの時期、私が軽めのコートやカーディガン以外に愛用するのは、パステルカラーの薄手のニット(できれば温かいカシミヤがオススメ)やハイゲージの綿ニットなど端境期ニットです。少し肌寒い日は、トップスをタートルネックにしたり、ストールなどの巻物で首周りを保温するだけで、寒い思いをせずに過ごせますよ。最近はこうした端境期用のアイテムも多く売られるようになったので、便利ですね。

また4月から新生活を始める人も多いでしょう。卒業して制服から解放されたり、就職・転職したり、と季節の変わり目としてではなく、新しいシーズンに向けての準備として、衣替えをする必要が出てくるのが3月です。

衣替え、と書いていますが、実は日本の風習としての「衣替え」は、年2回春夏物と秋冬物の衣類を変えるものです。

「衣替え」の風習は、中国の宮廷を倣って、平安時代の宮中行事から始まりました。その後、四季に合わせた衣替えは習慣化され、一般化していきました。

新暦を採用した明治政府が、6月1日と10月1日をこの衣替えの時期として制定し、以来、官公庁・企業・学校が毎年この時期に衣替えを行うようになった経緯があります。現在でも学校や企業で制服があるところなどでは、地域によって多少異なりますが、おおかた6月1日と10月1日を中心に衣替えが行われているようです。それも一斉にその日から切り替える、というより2週間から1ヶ月の移行期間を設けているところが多いそうです。特に近年は異常気象など、従来の気候のスケジュール感覚では対応できないことも多いので、「衣替え」という風習は消えつつあり、各自の対応に任されていることがほとんどでしょう。

制服

ころもがえ【衣替え、衣更え】

むかしから日本には季節のかわりめになると、衣服を変えて生活気分を改める風習があり、むかしは4月1日に冬衣(あわせ)を夏衣(ひとえ)に変え、10月1日に夏衣を冬衣に変えていた。現在は6月1日と10月1日を中心に気候に応じて気軽な気持ちで自由に更衣している。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

さて、衣替えで冬物をしまう前に大事なことがあります。
そう、きちんと衣類をクリーニングすることです。2、3回しか着なかったからといって、そのまましまってしまうのはご法度です。ダウンコートや厚手のセーターは、一見汚れてなさそうなものでも、見えないホコリや皮脂などで汚れています。汚れたまま何ヶ月も収納箱にしまうと、虫に食われて穴が開いたり、カビや黄ばみが広がったりして、その汚れはなかなか落とせません。次の年もキレイに着たいお気に入りの服ならば、しまう前のお手入れは必須です。

クリーニングする際は、各衣類ごとに付いている洗濯表示(マーク)を参照して、それぞれに適したお手入れをしましょう。少し面倒ですが、服を美しく着るためには重要なオシャレの基本です。

洗濯表示

その洗濯表示ですが、実は2016年12月1日から刷新されているのを知っていましたか?

おおまかな経緯としては、グローバル化が進む中、日本が加盟している世界貿易機関(WTO)において国際規格に準拠した国内対応が求められるようになり、国内の規格(JIS)を国際規格(ISO)に合わせて改正したことによるものです。
その前段階としてISOの方に、欧米にはなかった「自然乾燥」の表示の追加を提案し、それが採用されたので、今回のJISもISOに合わせることができました。

これにより、国内におけるタンブル乾燥機の普及や洗濯技術の進化にも対応した表示になりました。またZARAやH&Mなどのグローバルアパレル企業は、海外で販売されている繊維製品を日本国内で販売する場合、日本独自の表示に付け替える必要がなくなりました。ちなみに、施行日前にJISの表示を行った製品は、施行日以降もそのままの表示で問題ありません。日本の古着を購入する際は、洗濯表示で2016年12月1日以前と以降のものが判別できますね。

新しい洗濯表示は、従来の22種類から41種類に増えました。なかなか覚えるのは大変そう。
大きな変更ポイントをあげてみると、ひとつは、洗濯機洗いと手洗いの表示がどちらも桶の表示に統一されました。また、日本でもタンブル乾燥機が普及してきたこともあり、タンブル乾燥に関する表示が加わりました。自然乾燥(干し方)に関しては、従来の衣服の記号からタンブル乾燥と同様の四角い記号で表されるようになりました。ドライクリーニングも溶剤によって細かく分けられた上に、新たにウェットクリーニングの項目も追加されました。その他漂白やアイロン仕上げに関しても変更されています。

新しい洗濯表示については、こちらの消費者庁のサイトや各クリーニング関係商品の企業ページなどでも解説されているので、一度ぜひ目を通してみてくださいね。

消費者庁「新しい洗濯表示」

洗濯表示

きれいにクリーニングを終えたら収納です。収納する際にも、衣服を美しく保つために気を遣いたいものですね。

たたみ方や収納の仕方も皆さん様々な工夫をしているようです。
防虫剤の使用などはもちろんですが、最近は素材に化学的なものが含まれていることが多いので、収納の仕方にも注意が必要です。特に合皮素材は、ポリ塩化ビニールやポリウレタン樹脂が使われており、通常保管でも加水分解が進み、劣化して表面がベトベトしてくるので、接している他の衣類に付着してしまうこともあります。屋根裏や倉庫など冷房のない場所で保管している場合は、夏の間などに一気に溶解することもあるので、周囲を何かで包むなどしてから収納すると良いと思います。

また、保管場所の状態も大切です。湿気はご法度。そして、お掃除も忘れずに。

そして、衣替えは最大の断捨離機会。
この機会にいらない衣類を処分しましょう。断捨離に関しては、近年ブームなので様々なコツが紹介されています。例えば、片づけコンサルタントの近藤麻理恵さんの「こんまりメソッド」は、今や欧米でも大人気だそうです。狭い部屋に暮らす日本人ならではの工夫が、世界でも評価されていると思うと、うれしくなりますね。

収納

衣替えで部屋を整理して、春色の服を揃えたら、気分も春の青空のように爽やかになります。この時期は、いろいろお出かけもしたくなりますよね。
新しいシーズンの始まりですから、新しいファッションを取り入れて、新しい自分を見つけて楽しんでくださいね。

春

文/佐藤 かやの(フリーライター)