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渋谷ファッション&アート専門学校

服飾専門課程
(ファッション)

サングラス

Sunglasses

ファッション豆知識COLUMN

眩しい太陽が照り付ける真夏の外出には、サングラスは必需品。

紫外線をカットし、目の保護をするだけでなく、ファッションアクセサリーとしても活躍の場が多いアイテムです。メガネとしてかけるのではなく、シャツの首回りにペンダントのようにひっかけたり、ヘアバンドのように頭の上にのせたりしてもおしゃれですよね。

サングラスは男女とも、クールなカッコよさを演出します。
日本では、古い映画のマフィアのイメージなどがあったためか、以前はサングラスというと不良なイメージがありました。そのため映画俳優やロック・ミュージシャン、オートバイ・ライダーなどが好んで着用したように思います。
今の日本ではそんなイメージはなくなり、一般的なおしゃれとしてサングラスが着用されていますが、それだけ様々なデザインのサングラスが登場したので、老若男女問わず自分に合った、またはシチュエーションに合ったサングラスを選ぶことができます。

サングラス【Sunglass】

直射日光から目を保護するために用いる色つきメガネ。実用とともにアクセサリーとして用いられる。レンズは着色ガラスや合成樹脂でつくられ、緑色素(グリーンスモーク)、茶色系(アンバー)、灰色系(スモーク)などがある。緑色は夏の海山用に、茶色は街用に適している。また近視や乱視などの度のはいったもの、レンズだけとりはずしのできるもの、屋外でのみ色のつく特殊レンズなどがある。フレーム(わく)は合成樹脂、金属、セルロイド、べっ甲製などで、形は普通のメガネと同様に丸、角、それらの変形など多種多様で、イヤリングなどのアクセサリーと組み合わせたものもみられる。近年夏季の外出にさかんに用いられる傾向があるが、常用すると紫外線に対する目の抵抗力を弱める。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

もともとメガネ製造の起こりは、ヨーロッパでした。現地の宝石職人や特殊金属職人による手作りが中心だったため数が少なく、高価で、基本的にカスタムメイドでしたが、その質はあまり良いものではありませんでした。

そんなメガネ製造を一大産業にしたのは、1826年に誕生した世界最古のメガネメーカーともいわれる「アメリカン・オプティカル・アイウェア(American Optical Eyewear)」社(以下A.O.社)です。
サングラスは主に、太陽光が強く、有害な紫外線量が多い空を飛ぶパイロットの目の保護用として開発され、第一次世界大戦中、戦闘機パイロット用に大量生産されました。

第二次世界大戦時はA.O.社に加え、アメリカ空軍の依頼を受けて「ボシュロム(Bausch & Lomb)」社がブランド「レイバン(Ray-Ban)」を創立(現在はイタリアのルックスオティカ傘下)。パイロットサングラスは「アビエーター(Aviator)」と呼ばれ、その機能と大量生産の技術を一気に進化させました。

今のように一般的にファッションとしてサングラスが広まったのは、この大量生産体制が整った第二次世界大戦後のこと。

パイロット用のティアドロップ型のサングラスは、戦後日本に駐留したダグラス・マッカーサー元帥のサングラス姿でお馴染みですが、「英雄」のメタファーとして海外の男性セレブたちに支持されました。ティアドロップ型のサングラスといえばなんといっても、大ヒット映画「トップガン」で、凛々しい主演のトム・クルーズが着用していた「レイバン」のティアドロップが大流行しました。

サングラスが一般化した理由としては、大量生産が可能となり価格も安くなったことに併せて、フレーム素材の進化も挙げられるでしょう。
それまでフレームのほとんどは金属製でしたが、着色が容易で、大量生産に向いたプラスチックの加工技術が向上したことにより、セルロイド製のメガネが生まれました。今でもプラスチックのフレームを「セル枠」と呼ぶのは、「セルロイド製の枠」の略の名残です。

ただし、セルロイドはロットが大きく、様々なバリエーションでの生産には不向きです。そこで同じプラスチックでも多品種少量生産に向いているアセテート製が主流となっていき、現在店頭に並んでいるメガネのほとんどは、アセテート製なのだそうです。

こうしたプラスチックフレームの代表格であり今なお支持されている傑作が、「レイバン」から1953年に発売された「ウェイファーラー(Wayfarer)」です。ボブ・ディランをはじめとするミュージシャンや俳優に着用され大ヒットしました。
A.O.社もこのタイプの「サラトガ」というモデルを発売し、ジョン・F・ケネディが愛用していたことでも知られます。俳優のスティーブ・マックィーンは、イタリアの人気ブランド「ペルソール(Persol)」のものを好んだそうです。
この「ウェイファーラー」が不良のイメージだったかもしれませんね。

このメガネのプラスチック化で、いわゆる「ボストン」や「ウェリントン」など様々な形のメガネが、様々なメーカーから生み出され、サングラスも広まっていきました。
ちなみに、この「ボストン」や「ウェリントン」といった名称は、日本人が考えたものだと知っていましたか?

まだトラッド人気が根強く残っていた70年代の日本で、「アイビーリーガーズ」というブランドが登場しましたが、そのブランドの売り出し戦略で考えられた名称なのです。
丸みを帯びた逆三角形型には「ボストン」、スクエア型には「ウェリントン」、横長のスクエア型には「レキシントン」というように、「トン」の付くアメリカの土地名をレンズシェイプに合わせて名付けましたが、これが日本のメガネ業界に広まり、「レキシントン」以外は定着して現在まで続いています。ですので、これらの名称は日本独自のもので、海外では全く通用しませんのでご注意を。

パイロット用から一般化したこともあり、サングラスはまだまだ男性的なイメージでした。また、「ウェイファーラー」の持つ不良のイメージから、まだ女性のおしゃれアイテムとはいえなかったサングラス。

セルロイド、アセテートに続いて、より軽量なオプチルという新素材がオーストリアで開発されると、その開発者が「クリスチャン・ディオール(Christian Dior)」と「ダンヒル(Dunhill)」の製造ライセンスを得ていたため、この2ブランドからファッション性の高いメガネおよびサングラスが発売されました。

それまでにないエレガントで個性的なデザインで、しかも高品質だったため、特にヨーロッパと日本で瞬く間に人気が出、その後ファッションブランドが次々とアイウェア分野に進出していくきっかけとなりました。マイケル・ジャクソンが愛用していたことで有名なスポーツ系アイウェアの「アルピナ(Alpina)」や、今でもレディ・ガガやブラッド・ピットなどのセレブたちに愛用されている「カレラ(Carrera)」など、80年代は大型なサングラスが流行した印象です。

そして、ブランドアイデンティティが反映されたライセンスブランドも多く登場した一方、アメリカは「レイバン」が全盛時代を迎えていました。

90年代に入ると、「アラン・ミクリ(Alain Mikli)」や「ロバート・ラ・ロッシュ(Robert la Roche)」といったアイウェア専業の独立系ブランドが次々とデビューしました。
こうしてサングラスは、ファッションアイテムしての確固たる地位を築いたのです。

ファッション性が高まると様々なサングラスが登場し、私たちの選択肢も飛躍的に増えました。また、低価格帯のものも増え、ますますファッションとしての流行性も高まります。
メガネやサングラスのトレンドは、ファッショントレンドと時間差があったと言われてきましたが、最近はファッションのトレンドに合わせてアイウェアのトレンドも動くようになったようです。

昨今レトロブームともいわれますが、洋服でもクラシカルなデザインがトレンドです。アイウェアもそれに準じてクラシカルなデザインや、ラウンドタイプのものがたくさん出てきましたね。
素材も回帰志向のようで、プラスチックではなくメタルフレームやガラスレンズも再評価されてきたそう。まさしく「流行は繰り返す」のですね。

皆さんもぜひ、いつものコーディネートにサングラスを入れてみては?
自分に合った定番も良し、その日のスタイルに合わせて異なったサングラスをいくつかローテーションさせるも良し。
または、いつもと違う自分を演出するにも、サングラスは最適なアイテムです。

今年の夏も猛暑のよう。
サングラスでクールな夏スタイルをつくって、季節を楽しんでくださいね。

文/佐藤 かやの(フリーライター)