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渋谷ファッション&アート専門学校

服飾専門課程
(ファッション)

プリーツ

Pleat/Plait

ファッション豆知識COLUMN

前回の「ドット」に続いて、今回は同じく今季トレンドの「プリーツ」についてのお話です。

ファッションのトレンド・テーマとして「クラシカル」が続いていますが、秋こそクラシカルな装いが似合う季節。
人気のクラシカル・コーディネートを少し清楚に仕上げるのに、プリーツのアイテムが活躍します。

「プリーツ(pleats)」とは、英語で「襞(ひだ)」「折り目」という意味の「pleat」の複数形で、「連続して繰り返し続く襞」を意味します。

プリーツのアイテムといえば、プリーツ・スカートを思い浮かべる人が多いと思います。
歩くたびに揺れるプリーツが女性らしく大人気ですが、プリーツがスカートによく見られるのは、単に装飾というだけではなく、動きやすいという機能性も兼ねているからです。
女子学生の制服に用いられるのも、清楚で可愛いだけではなく、こういった機能性も加味されているのでしょう。

プリーツ【Pleat/Plait】

布や衣服の<襞(ひだ)><折目>あるいは<襞をとる><たたむ>等の意味。フランス語ではプリ(pli)という。衣服のプリーツは運動量を得るため、装飾のため、立体感を表現するため等により用いられる。

・・・・・<中略>・・・・・・

なお、プリーツは<pleat>と表記されるのが一般的であるが、これは16世紀後半に、<plait>の変形として現れたもので、1940年頃までは襞を表す語としては<plait>を主に用いていたようである。現在plaitは、プラットとかプレートと発音し、襞の意味もあるが主として<髪の毛や麦わらなどを編んだもの><三つ編>などをさす。また、プリーツが1本の場合はpleatと単数に、2本以上の場合はpleatsと複数になる。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

「プリーツ」と似たようなものに「ダーツ」や「タック」、「ドレープ」があり、混同しがちです。

「ダーツ(dart)」は、服を立体的な身体に合わせて仕立てるために、布の一部をつまんで縫い消したつまみのことで、このつまみが「投げ槍」「投げ矢」に似ていることから、この名称になったそうです。

「タック(tuck)」は、「折り込む」「しまい込む」というような意味があり、「たたんだり、つまんだりして、縫った襞」のことです。

「ドレープ(drape)」は、「布で優美に覆う」「垂らしてかける」「纏う(まとう)」というような意味があり、タックやプリーツのような人工的な襞ではなく、布を垂らした時に自然にできる、ゆったり流れるような柔らかい波のような襞のことで、カーテンやフレア・スカートに見られます。

普通折山が端から端まで消えずにきちんとたたまれたものをさし、折山が途中で消えたものはダーツに、また、折山があいまいなものはタックに類する。襞のとり方、形により名称が異なり、たくさんの種類が数えられる。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

プリーツは、その形状や幅、素材により、非常に多くの種類がありますが、大きく分けて次の3種類があります。

(1)ワンウェイ・プリーツ(片襞)
ひとつの方向に折られたもので、「サイド・プリーツ」「車襞」「追いかけ襞」とも言われます。スコットランドの民族衣装「キルト」もこの形で「キルト・プリーツ」と言います。

(2)ボックス・プリーツ(箱襞)
折り目が裏で突き合わせになった箱のような襞です。裏にすると「インバーティド・プリーツ」になります。

(3)アコーディオン・プリーツ(蛇腹襞)
襞山がほぼ真っ直ぐ立っている細めの襞で、楽器のアコーディオンの蛇腹に似ていることからこの名称がついた代表的な襞です。この変形で「アンブレラ・プリーツ」などがあります。

余談ですが、数年前に伝記的映画が公開された、19世紀末の天才ダンサーLoie Fuller(ロイ・フラー)は、このアコーディオン・プリーツの美しさにヒントを得て、有名な「スカート・ダンス」を考案しました。映画でもその美しさが際立っていました。

またその他に、襞山をはっきり付けない丸みを帯びたものを「アンプレスド・プリーツ」「ソフト・プリーツ」と呼んでいます。

プリーツ・スカートは、今では女性の清楚さを表すファッション・アイテムですが、世界の歴史の中では、男性も着用しました。日本の女子学生の制服に見られるタータン×プリーツの組み合わせは鉄板ですが、同じタータン×プリーツでも、スコットランドの民族衣装である「キルト」は男性が着用します。
その他東欧やボリビアなど、世界の民族衣装にも多く見られます。

今わかっている最古のプリーツは、やはり古代エジプトに見られました。プリーツ・スカートのような襞のあるスカート状の衣服の神官や、神の化身が壁画に描かれているそうです。
プリーツは雲間から見える太陽光に似ていることから「神の象徴である」と考えられたため、高貴な人々だけが着用できる衣服でした。

ギリシャやバルカン半島では、その機能性により男性の戦闘着や冠婚葬祭着にも使用されていたそうです。

その後の中世ヨーロッパでも、長く重い衣服の機能性向上のためにプリーツが施されたりしましたが、普通のスカートよりも襞がある分だけ余計に布を使う贅沢品だったため、プリーツは身分が高い人しか着用できませんでした。男性の聖職者の衣装や王族や貴族の襞襟など肖像画で見たこともあるかと思います。

その歴史は古く、平面の布を単に規則正しくたたんだ単純なプリーツは紀元前のエジプト時代の衣服にも見られ、また東欧やボリビア等の民族衣服にも繊細で美しいプリーツ・スカートがあり、その歴史を現代に伝えているが、布地の種類の豊富さ、パーマネント・プリーツ加工等の技術の発達によりさらに高度で繊細なプリーツが生み出されるようになった。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

20世紀初頭、軽くてしなやかな「デルフォス」(繊細なプリーツを施した絹のドレス)で一躍ファッション界の寵児となったスペインのデザイナーMariano Fortuny(マリアノ・フォルチュニ)は、プリーツの美しさを世界に広めました。ちょうどその美しいドレスが一堂に見られる展覧会(「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」三菱一号館美術館)が東京でやっていますので、興味のある人はぜひ見に行ってくださいね。アパレル総合科の校外授業でもこの展覧会に行った模様。こちらのブログでその様子が少しレポートされていますが、ますます本物が見たくなりました。

マリアノ・フォルチュニの頃は、まだプリーツは職人による手作業で、時間の経過や湿気などですぐに襞が取れてしまうのが課題でした。

長期間取れない、というパーマネント・プリーツ加工が生まれたのは、ポリエステルなどの化学繊維が開発された第二次世界対戦後のことでした。この技術により、プリーツは一気に世界中の庶民に広まります。

現代のプリーツ技術では、日本の三宅一生氏が1900年代終わりに開発した裁断・縫製後にプリーツをかける独自の「製品プリーツ」手法が有名です。そのブランド「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE(プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ)」のプリーツ製品は、今や世界中で人気です。

パーマネント・プリーツ加工だからといって、ぞんざいに扱うとプリーツの状態は悪くなります。

座る時などは少し襞を手で折りたたむように気をつけたり、洗濯でも干す際に襞を整えて干したり、襞が甘くなってきたらアイロンを当てたり、と少しの気遣いでいつまでも美しいプリーツをキープしたいものです。

また、プリーツ製品にはウールや麻などの天然素材のものもありますが、扱いやすいのは何と言っても化学繊維です。ポリエステルのものは安価でプリーツも取れにくいので、扱いやすいでしょう。

スカートでも、定番の全面にプリーツが施されたオール・アラウンド・プリーティド・スカートだけではなく、サイドのスリット部分にプリーツが入ったものや、一部にデザイン的に入ったものなどおしゃれなデザインのものがたくさん出ています。
黒のシフォンやチュール素材のプリーツ・スカートなら、パーティーにも活躍しますし、ざっくりしたメンズライクなセーターに合わせると、程よいセクシーさが演出できます。

また、スカートだけでなく、トレンドの今季はブラウスなどでプリーツのものを取り入れると、一層おしゃれ上級者です。
流行っている時にこそ、脱定番のアイテムにチャレンジしてみてくださいね。

文/佐藤 かやの(フリーライター)