SHIBUYA F&A SHIBUYA F&A
渋谷ファッション&アート専門学校 東京で服飾のプロを目指そう!

服飾専門課程
(ファッション)

帽子

headwear

ファッション豆知識COLUMN

残暑もすっかり遠のき、一気に肌寒くなってきました。

寒さを防ぐためについ、どんどん重ね着をしてしまいますが、人間の身体は先端から冷えるもの。手先、足先、そして忘れがちなのが頭。頭の防寒具といえば、そう、帽子です。帽子をかぶるだけでも暖かさが違います。

皆さんは普段のおしゃれで、帽子をよくかぶりますか?
帽子を上手にコーディネートに取り入れている人は、おしゃれ上級者でしょう。
また漫画家の手塚治虫氏のように、自分の個性の表現としてトレードマーク的に常に同じような帽子を着用する人もいます。このように今ではすっかり装飾的な目的で用いられる帽子ですが、そもそも帽子は、防暑、防寒、防砂をはじめとした頭部の保護を目的として作られました。

ぼうし【帽子】

帽子は<かぶり物><頭にいただくもの>の意味で、頭にかぶるものの総称であるが、とくに西洋からきたものをこうよんで、日本古来のかぶり物と区別している。したがって<キャップ(cap)><ハット(hat)><ボンネット(bonnet)><フード(hood)>などがこれにあたる。帽子の起源は古く、古代ギリシア時代のクラウン(crown=帽子の山)が低く、ブリム(brim=つば)の広いペタソス(petasos)とよばれる帽子が最初とおもわれる。しかしそれらの帽子は、防暑、防寒、防砂、または戦闘防御用として頭を保護する目的、その他階級の象徴であったが、文化の発展にともなって装飾の役目をかねるようになった。

日本で帽子が用いられるようになったのは明治以降で、それ以前のもので比較的帽子に近いものとしては平安朝以降に行われた烏帽子(えぼし)や、ある種の頭巾(ずきん)などであるが、これらを帽子とよぶことはほとんどない。

人間のからだを美しく見せるのが洋服の役目なら、帽子は顔を魅力的にするのが役目である。帽子と顔の輪郭がもっとも密接な関係があり、たとえば丸顔の人が顔を隠すほどの深い帽子をかぶったり、面長の人が浅い帽子をかぶったりするのは、顔の欠点をますます強調するばかりである。同じことはヘア・スタイルと帽子との関係についてもいえる。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

帽子の歴史は古く、古代ギリシア時代の「ペタソス」と呼ばれるストローやフェルトで作られたつばの広い浅い帽子が、最初の帽子とされています。またペタソスのような防暑、防寒、防砂などの実用的なものとは別に、権力者の権威の象徴として発展してきた流れもあります。その源流は古代エジプトにまで遡ることもできます。この流れの中で、階級や部族、職種を表すものが登場してきました。上流階級で着用された帽子はドレスとともに世界に広まり、日本には明治維新を機に西欧文化として到来します。西洋式の帽子は当初フランス語で「シャッポ」「シャポー」(chapeau)などと呼ばれ、断髪令で髷を落とした男性の間では、和服にこの西洋式の帽子をかぶるスタイルが広まりました。女性の帽子は、鹿鳴館のような上流階級のフォーマルな場などで、ドレスとセットで着用されたようです。

防暑、防寒、防砂、頭部の保護、権威の象徴および職種や部族のアイデンティティとして発展してきた帽子に、ファッションという装飾の目的が加わることで、洋服と同じく様々なデザインの帽子が生まれました。

洋服にも種類や性質があるのと同様に、帽子にも目的、場所にふさわしいものがいく種類もある。アフタヌーン・ドレス(afternoon dress)には華麗さ、上品さのあるトークふうなもの(アフタヌーン・ハット的なもの)、スポーツ・ドレス(sports dress)にはベレー、スポーツ帽などの活動的なものが適するように、かぶる目的、場所を知っておく必要がある。帽子はクラウンとブリムからなっていて、クラウンは<帽子の山>のことをさし、ブリムは帽子の<縁>のことである。クラウンとブリムの形により名称も変わってくる。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

フォーマルなものでは、男性用ではシルクハットやイギリスのチャーチル元首相が愛用したホンブルグ、女性用では王族の女性などが着用するトーク帽などがよく見かけられます。もともとは男性用だった中折れ帽は、素材によってフォーマル、カジュアル両用できるため種類が豊富ですが、最近では女性のおしゃれ帽子としても人気ですね。カジュアルなものはフォーマルなものより種類が多く、例えば画家のイメージで知られるベレー帽も、バスク・ベレー、ミリタリー・ベレーなどとたくさんの種類があるように、その数は数え切れません。
洋服とのコーディネートはもちろん自由ですが、フォーマルの場合は、そのコーディネートにもマナーとしてのルールがありますので、注意したいものです。

マナーというと、よく「室内での帽子の着用はマナー違反」と言われますが、実際はどうなのでしょうか?

なお婦人帽子は洋服の一部分とみなされ、昼間の外出では帽子をかぶるのが礼儀で、いかなる場所でも脱がないことが習慣であったが、今では外出のとき帽子が略されることが多い。日本では風俗、習慣が異なるため、部屋の中では脱ぐ方が常識とされている。外国ではむしろ室内で帽子をとるのは<くつろぎ>の意味があり、主人側にすすめられなければ帽子をとることはしない。パーティーなどの場合は、その家のホステスのみが無帽で、客はかならず帽子をつけることになっているが、これによってその集まりの主人がだれであるかわかるのである。カクテル・パーティーはまさに帽子のおしゃれどきとされ、最もいきでおしゃれな帽子が競ってかぶられた。しかしカクテル・パーティーでも頭飾りやはなやかな結髪を行うことによって、帽子にかえている場合も少なくない。またイブニング・ドレスを着た場合には、帽子は通常用いない。従来正しい外出姿にはかならず帽子をともなうものとされてきたが、帽子を省略することが多くなった。帽子はフランス語の<シャポー(chapeau)>にあたる。また婦人帽子店を<モディストゥ(modiste)>といい、英語では<ミリナー(milliner)>また帽子類のことを<ミリナリー(millinery)>という。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

「外国では脱がず、日本では脱ぐ」のがマナー、と「新・田中千代服飾事典」にはありますが、各国の文化や時代でマナーも様々に変化をしており、なかなか一概には言えないのが実情のようです。
現代では諸外国でも屋内に入った際に外套と一緒に帽子を脱ぎ、再び外に出る時に着用することが多いようで、概ね「屋外でかぶり、屋内で脱ぐ」というのが一般的なようです。これは男性に対して適用され、女性の場合は屋内でも着用するのがマナーになったりするようなので、少し複雑ですね。挨拶時に帽子を脱ぐ、というのは軍隊の敬礼のひとつに由来しているように思われます。また、式典での国歌などの斉唱時も帽子を脱ぐのが通例です。式典も宗教によってマナーが異なったりしますので、フォーマルの場に参加する際は、事前に主催者などにマナーの確認をするのが良いように思います。

カジュアルの場合はルール無用です!思いっきり自分のセンスでおしゃれを楽しみましょう!
とはいえ公共の場などでは、やはりTPOを考えた上で見る人の目を楽しませてくださいね。

文/佐藤 かやの(フリーライター)