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(ファッション)

カシミア

Cashmere/Cassimere

ファッション豆知識COLUMN

セーターは冬のファッションの最重要アイテム。
例えばボトムが同じジーンズでも、その上に着るセーターを変えるだけでイメージが一新しますよね。

安価でデザイン豊富なのは、アクリルなどの化学繊維製のものです。ウール(毛)や綿などの天然素材と比較して染色加工もしやすく、鮮やかな色合いのものも多く見られます。

しかし、セーターほど天然素材が支持されているアイテムはありません。その理由はなんといってもその「肌触り」です。
手に取ってみるとすぐわかるように、天然素材のものは吸湿調整に優れ、静電気も比較的少なく、粗悪なウールなどの例外はあるものの、基本的に肌触りは化学繊維に比べて良いです。

特に高級素材の「カシミア」は、その肌触りは断トツです。
毛が細いので密度が高くても軽く、保温性と保湿性に優れており、一度カシミアのセーターを着てしまうと、その温かさと肌触りで他のセーターになかなか手が伸びなくなってしまうほど。
昔は2万円は下らない価格で、とても庶民の普段着にはならない贅沢アイテムでしたが、最近は1万円を下るものも出回っており、気軽にその良質さを楽しめるようになってきました。

カシミア【Cashmere/Cassimere】

紡毛織物の一種。元来はインドのカシュミール地方産の山羊(やぎ)の毛を毛織にした、綾目のこまかい綾織の毛織物のことであった。これはカシミアにはやわらかい毛とかたい毛とがあり、やわらかい毛のみを用いて織るため、品質が優良であるばかりでなく、生産額が少ないため、ごく高級なものとされ、カシミア・ショールなどで代表される。最近はカシミア羊毛のみでは高価でありすぎるため、メリノ羊毛を混紡して本物の風あいをもたせたものがつくられ、カシミアと称している。肩かけ、外套、背広などに用いられる。また現在は梳毛糸(そもうし)を用いて正則斜文(せいそくしゃもん)に織り、製織後縮絨(しゅくじゅう)、剪(せん)毛したものもカシミアとよんでいる。布面はち密で、なめらかで光沢も多少あるが、本来の紡毛糸使いのものよりも手ざわりが粗剛で、風あいは似ていない。これは本物のカシミア(cashmere)とは区別して、cassimere と書く場合が多い。背広地、スカート地などに用いられる。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

「カシミア(Cashmere)」は、元来はインドとパキスタン北部の山岳地帯、カシミール(カシュミール)地方に生息するカシミアヤギから取れた毛、または、その毛から織った毛織物のことを指します。名前は「カシミール(Kashmir)」の古い綴りに由来します。

カシミアヤギは寒暖の厳しい高山地帯に生息しているため、表面はゴワゴワした粗毛で覆われていますが、その下に保温力のある柔らかい毛が密生しています。
この柔毛を年に一度の毛の生え変わり時期(春)に、櫛で梳いたりして集めます。
この作業はとても手間がかかり、しかも1頭から少量しか採れないので、1枚のセーターを作るにはヤギ約4頭分の毛が必要となるそうです。
採取された原毛は、長さ・細さ・白さによってランクが決められ、細く長く、白いほど高級、とされます。高級カシミアは生産量が非常に少なく高価で、上品な光沢もあることから「繊維の宝石」とも呼ばれています。

カシミアは稀少性が高い素材なのに、なぜか「流通量は生産量の4倍」と言われており、それはその人気と、カシミアの純度を識別する方法が難しいがゆえに、「偽装」が多いことを示唆しています。

ほとんどの原毛は中国国内で糸に加工されますが、この段階で羊毛などと混ぜられ、カシミア100%ではない「偽装カシミア」が発生します。
カシミアの風合いを少しでも安価で提供するために、羊毛や化学繊維と混紡した製品は多くありますが、その際にきちんとケアラベルに表示されていれば「偽装」ではありません。

また、一度生地や糸になったものの、製品化の後に余った切れ端や繊維クズを集めて再加工した「再生カシミア」というものもあるそうです。
ランクの低級なカシミアや再生カシミアは偽装ではないものの、カシミアの特徴である光沢や滑らかさはなく、偽装物と同様安価で出回ります。安いとすぐ購入しがちですが、カシミアは「カシミア100%」と謳っていても、一度手に取って肌触りを確認してから、購入することをおススメします。

またカシミアは、ケアラベル上の表記ではアルパカやモヘアなどと同様「ウール」と表わされることもありますが、昨今は少しでもカシミアが入っていれば「カシミア(カシミヤ)」と表示した方が売れるので、ウールとは別に表記されることが多いように思います。
ちなみに、消費者庁が定める「家庭用品品質表示法」での表記は「カシミア」ではなく「カシミヤ」となっています。

少しでも素材の知恵をつけて、できるだけ素材の良さを感じられる商品を購入できると良いですね。

カシミアのマフラーやストールも憧れアイテムです。
身に付けていると、温かいだけでなくエレガントな気分になります。カシミア初心者は、まず手が届きやすいマフラーからカシミア体験を初めてもよいでしょう。

一時期大流行した「パシュミナ」は、「カシミア」と混同しがちですが、正確にはカシミア糸を使用して織った、ネパールやインドで伝統的に作られてきたストールやショールを指します。近年はそれに使用される素材も「パシュミナ」と呼ばれる傾向にあるため、混同しやすいのかもしれません。
ネパール製のものは経糸にシルクを用いることが多く、光沢感があり、肌触りが非常に良いですが、生地が薄く繊細なアイテムです。これに対してインドではカシミア糸でのみで織り上げられています。

パシュミナもその人気ゆえに、低ランクのカシミアやウール、化学繊維のものまで「パシュミナ」として販売されていることがあるので注意が必要です。

パシュミナは高価ですが、やはりその肌触り、優れた保温保湿性ゆえに季節を問わず快適な使用感で、一度身に付けると手放せなくなるほど大活躍します。
ストールは巻いて初めてその整形力が実感できるのですが、パシュミナは少し大判のものをフワリとボリューミーに巻くと、ファッション性が一気に高まります。「大人の一生モノ」として1枚は持っていて損はないアイテムですよ。

「大人の一生モノ」としていつかは着てみたい憧れアイテムは、カシミアのコートでしょう。セーターは最近比較的手軽に手に入りますが、コートとなると少しハードルが高いですよね。
でも、若いうちはいくつもの安価なコートで様々なファッションを楽しめても、大人になればなるほど低質なアイテムは似合わなくなってきます。ブラックやキャメルなどの定番色のコートは、良質な1枚に絞るのも大人のワードローブ。
レストランやホテルのクロークに預ける時に、少し自信が持てますよ。

また、カジュアルなスポーツ系アイテムをカシミアにすると、グッとセレブ感が出ます。最近は、パーカーなどスポーツ系やルームウェアなどでカシミアが使われたものが出ており、ファッショニスタの間で人気です。

柔らかな色のものが多いカシミアですが、定番の黒いセーターをカシミアにするのも、ちょっと大人のおしゃれになります。

柔らかい最高の肌触りと、身体の芯から温まるカシミア。

カシミアのアイテムを身に付けると、本当に幸福感に満たされます。
これから冬の売り尽くし最終セールで、来年の冬用をお得に買うのも得策ですよ。
ぜひ、幸せのカシミアを体験してみてくださいね。

文/佐藤 かやの(フリーライター)