クロストーク2 建築

技術とアートの融合でクリエイターを育てる

TECHNIQUE & ART

古川泰司先生

古川

建築の仕事の面白いところは技術者としてのスキルもクリエイターとしての資質も、両方とも必要とされるところです。どちらかに偏っていては良い仕事はできません。本校には文化専門課程(アート)と服飾専門課程(ファッション)がありますから、アートの講師にスケッチを指導してもらいファッション的なセンスで考える授業も準備しています。

来馬輝順先生

来馬

文化専門課程(アート)との連携授業ですね。技術とアートを融合させた学びは非常に貴重ですし、ほかの学校にはなかなかないと思います。すぐ隣にアートやファッションなど、生活に密着した分野で学ぶ人たちがいるという環境も、学生にとって良い刺激になるでしょう。私たちもほかの分野の教員と連携を深めて、より良い学びを提供していきたいですね。

古川泰司先生

古川

技術的な現場をよく知る人がアートとつながると、建築の深みが増します。技術力とデザイン力を組み合わせて、いかに豊かな空間を作っていけるかがポイントです。それを体現する人材を育てたいというのが、本校の根っこにあります。

杉浦充先生

杉浦

建築は工学の分野として分類される一方で、建築士はある種のデザイナーとして捉えられてきました。これからは、それが昇華し“建築士はクリエイター”という捉え方がスタンダードになるかもしれないですね。

古川泰司先生

古川

そうですね。我々でそれをスタンダードにしていきましょう。

将来の選択肢を広げるための“引き出し”を提供

FUTURE OPTIONS

古川泰司先生

古川

昨今、建築の世界の裾野はかなり広がっています。建築設計だけが建築じゃない。既存改修の技術者やコンサルタント、キッチンや照明のアドバイザーなど、さまざまな職種がありますよね。私の大学の同級生も、建築設計だけではなく様々な仕事をしています。

杉浦充先生

杉浦

建築の世界には、とても多くの引き出しがあります。若いうちに、それをなるべくたくさん知っておくことが大事だと思います。

古川泰司先生

古川

そこで本校の講師陣には、木造建築をはじめ、インテリアや環境、ランドスケープなど、多様な分野のトップリーダーを集めています。さまざまな分野で活躍する講師たちとの出会いを通して、きっと自分に合った道を見つけられるはずです。

来馬輝順先生

来馬

講師たちとのつながりはもちろん、さまざまな道を選ぶ仲間とのコネクションをこの学校で作れるというのがいいですよね。卒業後も合流して協業できる。確実に建築の質が上がりますよね。

古川泰司先生

古川

「建築を勉強したいなら小説を読みなさい」とよく言います。小説に登場するさまざまな場面を自分の頭の中で想像する、そんな力が建築の世界でも求められるからです。だからこそ、本学ではさまざまなアプローチから建築に触れる機会を提供したいと考えています。

倉島和弥先生

倉島

自分の世界が狭い、交友関係も狭い、遊びの範囲も狭いと感じている若い人たちの選択肢を、もっと増やしてあげたいですよね。実際に手や体を動かして何かに触れる経験が少ないが故に、クリエイトと言われても何をしていいか分からないのがデジタルネイティブ世代の若者たち。そんな彼らが主体的に動けるようなるまで、丁寧に指導していきたいです。

「即戦力」と「創造力」の育成も重視

ARCHITECTURE CREATOR

古川泰司先生

古川

我々が本校で育てていきたい「即戦力」とは、単に点を打ってそれを線で結んで図面を起こすCADオペレーターのようなスキルのことではありません。図面を起こすだけでなく、その意味をきちんと理解できる力が「即戦力」だと考えています。

来馬輝順先生

来馬

線を引く技術なんてすぐ覚えられますし、2年間かけて取り組むようなものではないですからね。先ほども場面を想像する力が大切だという話が出ましたが、現場を見て感じたものを想像してCADや手書きで図面に起こせるようになれば、それが「即戦力」です。

古川泰司先生

古川

自分が現場で見て感じたものを誰かに説明するとき、それを自分で絵に描いて図示する力も求められますよね。実はこの描く力も、建築をまとめていく上で重要です。その点、本校では文化専門課程(アート)の講師がスケッチやデザインを教えてくれるので有利です。

杉浦充先生

杉浦

そうですね。私が新卒でゼネコンに入社した時に感じたのは、美術系で学んできた人の設計行程には出戻りが少ないということでした。美術系の人は立体をイメージしながらプランニングしているのに、大半は、まずは平面図を起案して、第三者のパース部門で3Dを起こして頂いて立体を確認し、平面に戻って修正を行って、またパースで確認するという行程を繰り返していました。やはり絵を描く力って大事だと思います。

古川泰司先生

古川

もちろん、本校ではパースも教えますが、プランだけでは設計にならないということは知っておいてもらいたいですね。

来馬輝順先生

来馬

建物は立体造形ですからね。力学的な構造も大事だけれど、造形の美しさを想像する感覚も必要ですよね。

古川泰司先生

古川

そうですね。我々専任講師が「建築クリエイター科」のメインとなるカリキュラムの一つである「設計演習」を担当します。プランができたら終わりではなく、建築の豊かさを考える想像力も身につくよう指導していきたいと考えています。