ファッション豆知識

ストライプ

青い空、明るい陽射しになると、着たくなるのが爽やかなストライプ柄。

おそらく皆さんも1着は、ストライプ柄の服を持っているのではないでしょうか?
特に春から夏にかけては、ストライプ柄の服を着た人たちが街に増え、ネット上には「被(かぶ)り写真」も多く出回るほど、特に日本では男女問わずに愛されているように思います。

ストライプStripe

<縞(しま)><筋><線条><袖につける山形記章>などの意味。また細長い編み(組み)ひものこともいう。服飾用語としては、とくに織布に捺染(なっせん)あるいは織りこまれた縞柄で、縦・横・斜めの縞がある。ストライプは古くから、またどの国においても使用された柄である。縞の色の異なるもの、縞の部分がもり上がったもの、くぼんだものなどがあり、また、縞の幅、織り方、稿の配置の仕方、色の使い方によって異なったさまざまのストライプがある。 日本語の縞の中には格子もふくまれるが、ストライプには格子はふくまれず、チェック、プラッドなどとよんで区別されている。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

「ストライプ」は「縞模様」のことですが、「横縞」「縦縞」「斜め縞」すべてのタイプの縞模様の総称です。
英語では「縦縞」は「垂直」を意味する「Vertical」を付けて「Vertical Stripe」、「横縞」は「水平」を意味する「Horizontal」を付けて「Horizontal Stripe」、「斜め縞」は「Diagonal Stripe」といいます。

普段私たち日本人は、「横縞」を「ボーダー」、「縦縞」を「ストライプ」と、分けて呼ぶ傾向があります。先の「被(かぶ)り」の話も、「ボーダー被り」というフレーズで話題になりました。

しかし「ボーダー」は、本来は「縞模様」のことではありません。英語「Border」が持つ「縁」「辺」「境界」といった意味から、ファッション用語としては、裾、襟まわりなどの縁部分を強調する目的で、縁と平行に付けられた帯状の「縁取り柄」のことを指します。

一説によると、縁のリブのところに横縞の入った靴下、いわゆる「ボーダー・ソックス(border socks)」を見た日本人が、その「横縞」を「ボーダー」だと勘違いしてから、「横縞」を「ボーダー」と呼ぶようになったと言われています。

ボーダー・プリントBorder print

ボーダーとは、<辺><縁><境界>という意味で、布地の場合には、布幅の片方に縁飾りのようにして染められた柄のこと。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

ストライプは柄としては派手なことから、「異質」なものを表すことがあります。

しばしば「異質」なものは、社会においてはネガティブなイメージで捉えられ、「はみ出し者」などの忌み嫌われる存在の印として用いられました。特に西洋では割と古くから、そうした「はみ出し者」や「忌み嫌われる者」にストライプの衣服を着用させ、普通の人々と区別する傾向があったようです。
よく、漫画などでも刑務所内の犯罪者が、白黒のストライプの囚人服を着て描かれることがありますが、実際に第二次世界対戦前の欧米では、細い縦縞や太い横縞の囚人服が多く採用されていました。ストライプは目立つため監視しやすく、市井の中では明らかに異質なので、逃亡抑制にもなったのでしょう。

ストライプが一転して「自由」というポジティブな意味を持ったのは、アメリカの独立から始まった世界各国の「独立」や「市民革命」の時代でしょう。新しい国家の象徴として作られた国旗には、多くのストライプが見られます。

アメリカ国旗は一般的に「星条旗(The Stars and Stripes)」と呼ばれるように、赤と白のストライプが印象的ですよね。
また、アメリカ独立に続いて革命が起きたフランスで、絶対王権を倒した新しい市民政府が掲げたのが、通称「三色旗(トリコロール)」と呼ばれる現在の国旗です。三色のラインは、最少線数のストライプと言えるかもしれませんね。ちなみに、世界で最初の三色旗は、16世紀にスペインから独立したオランダのものでした。

このアメリカとフランスの国旗を見本に、その後たくさんの新しいストライプの国旗が生まれました。

「自由」の象徴として使われたストライプはやがて、その意味というより、単に「おしゃれな柄」として愛用されていきます。

横縞柄のいわゆる「ボーダーシャツ」は、今や世界中で着られる定番アイテムですが、この「ボーダーシャツ」のルーツは、フランスのノルマンディ地方の船乗りたちの仕事着です。

イギリスとの間の荒海を航海する船乗りたちの着る、暖かくて丈夫なセーターは、視界の悪い海上でも見分けがつきやすいように、国旗のトリコロールやボーダー柄に編まれ、いつしかマリンセーターの原型になりました。無地は船長、ボーダーは船員用と区別されたそうです。

後にフランス海軍の若い水兵たちが、コットン製のボーダーシャツを制服として着用するようになりました。

20世紀に入ると、実用的な仕事着や制服だったボーダーシャツは、ジーンズと同様、日常着として見直され、まず、南仏のリゾート地でバカンスを楽しむセレブリティの間で流行しました。あの有名な画家のパブロ・ピカソも、ボーダーシャツを好んで着ていたようで、ボーダーシャツ姿の写真を多く残しています。

ボーダーシャツは、手軽におしゃれできる日常着として、リゾートから世界中に広まっていきました。

そして日本には1960年代、フランスのマリン・スタイルの先駆的存在である「SAINT JAMES(セントジェームス)」が上陸し、ボーダーシャツブームの火つけ役となりました。
その後80年代のマリン・ルックブームなどを経て、今では一過性のブームではない「定番」のアイテムとなったのです。

ストライプ、ボーダーは定番とはいえ、実は毎年の流行があります。
毎年違うタイプのものがトレンドになるのも、その豊富な種類ゆえでしょう。

縦、横、斜めの3種類の縞の方向があるのに加え、ラインの引き方の組み合わせで、その種類は無限大にあります。
特にラインのピッチ(太さ、間隔)によって、だいぶ印象が変わります。

「ヘアライン・ストライプ」「ペンシル・ストライプ」「チョーク・ストライプ」などは、その名の通り、髪の毛くらいの細さのもの、鉛筆やチョークで描いた線くらいの細さのストライプです。反対に太い線のものは、「ボールド(Bold=目立つ/はっきりした)・ストライプ」と呼ばれています。
よく聞く「ピン・ストライプ」は、濃い色の地に、白い点線で引かれたラインのストライプです。「ペンシル・ストライプ」やこの「ピン・ストライプ」は、カジュアルではなくシックな印象なので、ドレッシーなコーディネートやモード系の装いになります。
その他、二本線の「ダブル・ストライプ(トラック・ストライプ)、三本線の「トリプル・ストライプ」、複数の色が鮮やかでポップな「マルチ・ストライプ」など覚えられないほどの種類がストライプにはあります。

トレンドを追うだけでなく、その中で自分に似合うストライプを見つけて、自分の「定番」にするのもよいと思いますよ。

ストライプは目立つ柄ではありますが、今ではあまりにも日常に馴染んでいるので、日常を彩るのには最適な柄です。

雑貨も含めたファッションアイテムだけでなく、様々なアイテムに使われます。
その爽やかさゆえに、季節的には春夏に最も活躍しますが、最近はサーフ系ファッションがセレブたちの日常着として愛用されており、秋冬でも秋冬素材のマリン・ウェアなどが登場し、ストライプを見かけることが多くなりました。

ちょっとびっくりするのは、ポルトガルの北部にあるコスタ・ノヴァというリゾート地の街には、通称「パジャマタウン」とも呼ばれるストライプの家が並ぶ街並みがあり、インスタグラムでも人気のスポットなのだそうです。一度行ってみたいですね。

さぁ、お気に入りのストライプは見つかりましたか?
今年気になるストライプは、どんなストライプでしょう?

ジーンズやGジャンと合わせる鉄板コーディネートに少し飽きたら、エレガントなストライプ・カジュアルに挑戦してみましょう。
または、今年の春夏は少しシックな装いがトレンドなので、ブラックやブラウンの単色コーディネートに、足元や首元、帽子でストライプ柄のものを差し込むなど、バランスを考えたコーディネートができたら、オシャレ上級者です。
友達やパートナー、ペットとお揃いのストライプ・コーデも気分が盛り上がって楽しそう。

「自由」の象徴でもあるストライプを纏うと、なんだか気分が軽やかになってきませんか?
軽やかな気分で、明るく美しい季節のスタートを切ってくださいね。

文/佐藤 かやの(フリーライター)

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