ファッション豆知識

レギンス

めっきり秋が深まりました。

涼しくなると、屋外でのスポーツもしやすくなりますね。暑かった夏の運動不足を一気に解消したいものです。

よく「スポーツの秋」と言われますが、皆さんはその由来をご存知でしょうか?
実は先の東京オリンピックの開催がその由来です。1964年10月10日に東京オリンピックの開会式が行われ、1966年以降10月10日が「体育の日」として祝日になり、「スポーツの秋」と言われるようになったようです。現在は国民の祝日に関する法律の一部が改正され「ハッピーマンデー制度」が適用されたので、今年の1月から「体育の日」は「スポーツの日」と改称され、10月の第2月曜日と変更されました。

本格的なアスリートでない限り、スポーツの際の服装は自由です。
動きやすさなど機能はもちろん大事ですが、ファッション性もモチベーションを上げるために大切ですよね。
「レギンス」は、最近ジョギングやヨガ、スポーツジムでのワークアウト着として愛用する人が増えていますが、様々な色柄ものも出ており、ファッション性の高いスポーツアイテムです。本来は防寒や足の保護機能があるので、登山やサイクリング、サッカーなど脚を酷使するスポーツの際に男女問わず着用されていました。

現在の日本では、「レギンス」といえば「スポーツウェア」というより、「女性のファッションアイテム」のイメージの方が強いかもしれませんね。

今年の秋も昨年に引き続き、しっとり女性らしいスカートのコーディネートがトレンドです。
昨年から人気のプリーツをはじめ、フレアやギャザード、タイトなど、種類も多く出ているので、様々なシルエットを楽しめるでしょう。

一気に気温が下がってくるこの時期は、ちょっとスカートでは足元が寒くなります。そんな時に活躍するのがレギンス。
もちろん防寒という機能だけでなく、いつものスカートに合わせるとちょっと雰囲気も変わるので、コーディネートの大きな味方です。

この「レギンス」、日本のファッション業界が2006年頃から「スパッツ」の新しい名称として打ち出したもので、この呼び方の違いで「世代がわかる」と揶揄されたりもしましたが、最近はすっかり「レギンス」が定着したように思います。

英語では「Legging」と書き、通常は「Leggings」と複数形で使います。そのため英語読みの「レギング」「レギングス」などと言う人もいます。
また、フランス語では「caleçon(カルソン)」と呼んでいます。

レギンスLeggings

乳幼児用のウエストから足先までのズボンのようなはきもの。また軍人などの用いる足首から膝下(ひざした)ぐらいまでの革ゲートルのこともいう。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

現在は、女性のファッションアイテムとして知られている「レギンス」ですが、本来は軍人や登山者が脚の疲労を軽減するために履く「ゲートル(脚絆)」のことを指しました。
また、ある種のゲートルのデザインが似ていたことから、乳幼児が履くニット製のズボンのようなものも「レギンス」と呼ばれるようになりました。

下着やレッグウェアと同じような伸縮性のある柔らかい素材のものがほとんどです。日本の「股引(ももひき)」に近いかもしれませんね。そのため、スポーツウェアやカジュアルなアイテムとして用いられます。

日本ではスカートやショートパンツに合わせて履く女性が多いですが、海外ではレギンスはスポーツタイプのパンツの一種として、一枚で履かれることが多いように思います。ミニスカートに合わせて履く女児は見かけますが、大人ではあまり見かけません。
特に海外では、スポーツウェアとして着用されることの方が多いようです。

また、パンツに合わせてレギンスを履くおしゃれな男性も出てきました。「コム・デ・ギャルソン」などのブランドからも「メンズスカート」が登場するなど、ファッションのユニセックス化とともにファッションアイテムとして男女ともに履かれるようになってきたようです。

もともと防寒用アイテムのレギンスですが、最近は春夏もファッションとしてチュール素材など薄手のものをスカートに合わせて履く人も見かけます。足元が開いているので、タイツほど蒸れたりしないのがよいのかもしれませんね。

一方「スパッツ」ですが、英語で「spats」と画像検索するとわかるように、実はレギンスのようなものは本来「スパッツ」と呼びません。

「spats」は「spatterdashes」または「spatter guards」の略で、主に登山用の靴の上からかぶせる甲から足首までのカバーのことです。「ゲートル(脚絆)」の英語読みの「ゲイター」とも言われており、主にパンツの防汚や裾の保護、靴の足首部分から石や雪などが入り込むのを防ぐために使用します。石や雪の侵入を防ぐことにより怪我や体温低下を防ぐ重要な効果もあるそうです。

ですので、今のレギンスを「スパッツ」と呼んでいるのは実は日本だけで、そういう意味では和製英語ともいえるでしょう。

スポーツ用品として日本に入ってきた「スパッツ」が、女性のファッションアイテムとなったのは、ボディラインを強調したファッション「ボディコン」が流行した1980年代中頃からと言われています。また1990年代には女子小学生の間で、スカートのインナーにスパッツを合わせるファッションが流行しました。
この頃のスパッツは、スポーツ用品としてのイメージがまだ残っており、光沢感のあるものや、色柄も黒が定番ではありましたが、その他鮮やかなピンク、ロゴ入りのものなどもあり、ポップなイメージのファッションアイテムでした。
「スパッツ」から「レギンス」に名称を変えた理由のひとつには、このスパッツのスポーティでポップなイメージを払拭して、もっとナチュラル系など幅広いファッション用途に広げたい業界の思いもあったのかもしれませんね。

様々な色柄のものが出ていますが、歩くたびに引き締め効果があるシェイプアップ機能のものあるようですよ。

とはいえ、今の日本では丈で「レギンス」と「スパッツ」を区別する傾向があるようです。丈が膝下~足首まででアウターウェアとして着用されるものを「レギンス」、丈が膝より上で、スポーツやインナーウェア用途で着用されるものを「スパッツ」と呼ぶようです。

スパッツSpats

19世紀末から20世紀初期にかけて流行した、男女両用のきゃはん型のゲートル。靴の上からはいて、下は靴の土踏まずの下を通した紐でとめ、足の部分は脇のボタンでとめるようになっていた。このほか現代では無地や格子(こうし)柄、縞柄などのもの、フェルト、革でつくられたもの、あるいは尾錠(びじょう)でとめられる短い形のものなどもつくられている。男子は白のスパッツを礼装にも用いた。スパッターダッシィズ(spatterdashes)の短縮された語である。現在においては腰から脚部にぴったりフィットしたタイツふうのレッグ・ウェアもスパッツという。スキーパンツふうに裾に足掛けのついたもの、足首までのもの、などがある。ミニ・スカートの下やエアロビクスやジャズダンスなどの練習着に着用される。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

「レギンス」の一種で「トレンカ」というものもあります。「トレンカレギンス」とも呼ばれます。

本来の名称は「トレンカー」で、この形のスキーパンツを考案したLuis Trenker(ルイス・トレンカー)に由来し、スキーパンツだけでなく、様々なスポーツ用パンツに使われた商品名で、英語圏では「stirrup pants(スティラップ・パンツ)」ともいいます。

レギンスがくるぶしから先が開いているのに対して、トレンカは土踏まずの部分に引っ掛ける部分があり、つま先とかかとが出ているものです。

日本では、以前はバレエ用タイツとして着用されていましたが、2009年頃から新たなカジュアルファッションアイテムとして着用されるようになりました。

トレンカーTrenker

スポーツ用スラックスの商品名。トレーニング・パンツの機能をもたせたもので、スキー、スケート、体操その他のスポーツに用いる。ストレッチ、イラスティックなどの伸縮性の新素材を用いてあるため、体にぴったり合い、しかも運動性がある。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

混同しやすい「レギンス」「スパッツ」「トレンカ」の違い、少しは整理できたでしょうか?

これからどんどん寒くなる季節。
健康的なおしゃれには、身体を冷やさずに保温することが大事です。特にアウターが届かない下半身は要注意。
身体が温かいと、血色も良くなり表情も明るくなりますよね。
周囲を温かくする明るい笑顔こそ、最強のおしゃれアイテムです。

文/佐藤 かやの(フリーライター)

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