ファッション豆知識

レース(1)

さて、6月。
1年もあっという間に半分まで来てしまいました。なんだか、この数年は特に1年が早く過ぎてしまいますね。

6月といえば「ジューン・ブライド」ということで、以前にも6月には「ウェディング・ドレス」のお話をしましたが、そのドレスに欠かせないのが「レース(lace)」。今年は前回までの「刺繍」の流れでも出てきたレースのお話です。

刺繍(9)」で、刺繍とレースの区別がつきにくいというお話をしましたが、皆さん覚えていますか?
「エンブロイダリー・レース(刺繍レース)」というものもありましたね。
あらためて「レース」の定義を「新・田中千代服飾事典」で調べてみると、

・ 糸を撚(より) 合わせたり、組合わせたりして、網状の透かし模様につくられた布
・ 糸を編むという行為によらないでもレースと同じ効果をもつもの(布)はレースにふくまれる

とあります。

とにかく、「透かし模様のある布」と考えてよさそうです。

レースLace

糸を撚(より) 合わせたり、組合わせたりして、網状の透かし模様につくられた布。針、 ボビンあるいは編棒などを用い、手によってつくられるものと、機械によってつくられるものとがある。広義には布に透かし模様をほどこした<エンブロイダリー・レース>もふくむ。つまりレースの考え方には、1本の糸を編み進めて透かしのある面、つまり、レースとしたものと、布にステッチをほどこしてレース模様をつくり、これを広範囲につなぎ、連続させて広い面をもつレースとしたもの、さらに両者の方法をあわせたものとが考えられる。つまり、糸を編むという行為によらないでもレースと同じ効果をもつもの(布)はレースにふくまれる。

元来レースの語は、線(line)あるいは絹糸などでつくられた小さなコードを意味した。これは衣服の<あき>を結びとめるためのもので、タブレットや婦人のドレスのボディスなどに使われていたもので、金属のタンあるいは小さな穴に通して編める構造になっていた。レースということばの起源は<しばる>という英語のレーシア(lacier)からきたといわれる。フランスでは、ギビュール(guipure)、 ダンテル(dentelle)、パスマン(passment)、ドイツではスピッツェン(Spitzen)、オランダではカンテン(kanten)、イタリアではメルレット(merletto)、トウリナ(trina)、ジェノバではピッゾ(pizzo)、スペインではエンゲージ(encaje)、フランドルでペルレン(peerlen)、 ボルトガルではレンダ(renda)という。

解説:「新・田中千代服飾事典」より

「lace」という英語は、「レース」の他に靴ひもなどの「ひも」や「ひもで縛る」といった意味があります。
元来「レース」の語は、古フランス語で「絹などのひもを編んだ、あるいは織り込んだひも」という意味の「laz」が語源と言われています。
「laz」は俗(口語の)ラテン語で「網、縄、ひも、ネクタイ、リボン、罠」を意味する「laqueum」から派生した言葉で、英語の「lasso(投げ縄)」などもここから派生した言葉です。

やがて14世紀頃には、「衣服のスリットや開口部の縁を引き寄せるために使うひもの部分」を指すようになり、中世英語では「ひも、糸」、特に「結ぶ、縛る」という意味合いが強くなりました。余談ですが、「なんと「釣り糸」や「絞首台のロープ」という意味でも使われたそうです!

1540年代から「装飾用のひも」として使われ始め、1550年代には「装飾用の模様のある網状になった細い糸の布」という意味になり、それが主要な意味になり、現代に至ります。

そのため西洋では、「レース編み」というと、かぎ針や棒針、ボビンなどの器具を使って編むものの他に、「縛る」とか「結ぶ」、そして「織る」といった方法で作られるレースも含まれるそうです。

日本で「レース編み」というと、一般的には「かぎ針編みレース(クロッシェ・レース)」を指し、その他のレースは単に「レース」とひとくくりで認識されているように思います。

これは、レースが西洋から日本に入ってきた後、日本人がレースの技法を学ぶ場所が、1870年代に政府が横浜に設立した教習所しかなく、他のアジアの国のように輸出手工芸品としてレースが産業として発展しなかったため、国内のレース技法に対する認識が低いからだ、という指摘もあるようです。

ちなみに日本でレースは、「線帯」や「麗糸」などと表記されたそう。うまく体を表していますよね。

レースは刺繍から発展し、中世ヨーロッパの貴族たちの装飾競争によって多彩な手法が生み出され、それぞれの地域の特色をもって展開されたため、刺繍にも劣らないたくさんの種類があります。
次回はあまたあるレースの種類を、整理して分類しながら、みていきたいと思います。お楽しみに。

文/佐藤 かやの(フリーライター)

※写真はイメ―ジです。

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